第34話 ギルドの依頼とあいどる
「レム様、あれが回復効果のあるメディハーブです!」
「レム様、あれが傷を治す効果のあるセイジです!」
ちょ、教えてくれるのはありがたいけど、苦かったり甘かったり辛かったりいろんな味が口の中でごちゃごちゃと混ざりあっている。
大食漢のおかげで胃には余裕があるが、植物の葉がチクチクと胃粘膜をつつきあってるような感覚に胃がザワザワともたれていた。
「レム様、あれは胃もたれに効くウスベニアオイです」
次々と効果がありそうな植物を持ってきてくれる。キラキラキラキラ輝くシュリナの目を見てしまうとつい断れなかった。まぁ。おかげで多くの薬草を体内に取り込めたんだけど。
「今だ!」
「はいっ! ホーリーアロー」
シュリナは主に神聖魔法を使う。
「”薬草の神様”への信仰心が強いからね」と笑っていたが、「その神様ってどんな存在なの?」って聞いたら「知らない」と即答されるし……かと思えばベルダンディーは《一番近いのはレアーかもしれません。植物のことは何でも知っていますので》と笑顔で教えてくれる。
これって必要な知識なのか……言っていいやつなのか? ポロっと話したら神を語るなとか怒られそうで怖くて仕方がない。
「もう動けないです~」
シュリナは生活の大部分を薬学や錬金術に費やしてきたせいか、スタミナが極端に少なかった。 (ショクブツ アツメハ ムゲンニ ウゴケソウ ナノニ)
旅を続けることで少しづつスタミナがつき、道中に出てくる
「アーメルダにとうちゃ~く」
──アーメルダ自由商業国
首都アーメルダを中心に商業が発展した国。多くのヒト・モノ・カネが動き、種族に対する優劣は無くお金を持っている人が偉いという風潮が強い。王政制度をしいているが、実質の支配者は
「そういえば、ツノはどこに隠したの?」
「あー、人の街に行くときは人化するんです。その方がトラブルにも巻き込まれないし周りを気にする必要はありませんから」
《人化できる種族は多いんです。街にいる人族以外はほとんどが人化できます》
と、いうことはアラクレオンネという最上位種になってやっととったスキルはみんな持ってるってこと?
《端的に答えるならYESですが、レムのように系譜を作れるようになった先祖がいたからこそなのです》
「とりあえず冒険者ギルドに行こうか、情報を得るのにもお金がかかるだろうし宿泊費も稼がないとならないから」
「分かりました! じゃあ私は錬金のお店に行ってきていいですか?」
「ちょ、こんな広いところで離れ離れになったら相手を見つけるのが大変でしょ、だから一緒に行動しよう」
「そうですね、わたしもここにくるのは初めてですし確かに危ないかもしれません」
流石に商業国というだけあって様々な店がある。高い建物が多く見たこともない道具や武具も多く並んでいる。
この世界では一番人気の職業が冒険者である。しかしインフェルザン王国では国の戦士となることが王国民としてのステータスだと教育されていた。
それにしてもここの衛兵はカッコいい、インフェルザンで見た衛兵とは装備の質が違う。素人でも分かるほどだ。
「おいねーちゃん、アーメルダの衛兵はカッコいいだろう。商人たちがスポンサーになってるからな! 将来は商人になって金を稼いでも良し、名声をあげて金を稼いでも良しだ」
通りすがりのオジさんが、ご機嫌な様子で一方的に喋ってどこかに行ってしまった。って、何よりもおねーちゃんって呼ばれたことがショックなんだけど……。
《それは慣れるしかないです。レムはとても可愛らしいですし、わたしはとても好きですよ》
好き……前世で言われたことない言葉、恥ずかしくなって照れてしまう。
「レム様、ここのようです。デカデカと冒険者ギルドって書いてあります」
すっごい建物だ。ルネサンスを感じさせる4階建て。多くの人が出入りしている。扉を開くとテンションが上がる……すっごい数の掲示板が並び、所かしこと依頼が張られている。討伐、収集、人探し……様々な依頼が整理されジャンルごとに貼られていた。
転生者がいるんだからコンピュータとか開発されないのかな……スマホもそうだけど。そうすれば便利だと思うんだけど。
「レム様、こんぴゅーたって知ってます?」
えっ、なんでシュリナがそれを? まさか彼女も転生者?
「なんで?」
「ベニマ兄さんはアーメルダやインフェルザンにちょくちょく遊びに行っていたみたいで、”アナログ過ぎる! 転生者が他にもいるなら誰かコンピュータを開発してくれー”って言ってました」
「そうなんだ…… な、なんだろうね」 (アハハ)
《ひとつ言っておかなければなりません。この世界は機械的な進化にリミットがかけられているのです。それは……スキル的な進化にリミットがかけられていないからです》
どういうことだろう?
《分かりません。ふと頭に浮かんだ言葉です。きっと何らかの力によって一時的に知識のロックが外されたのでしょう》
なるほど。良くわからないけど開発できないにする何らかの力が働いているのだろう。確かに考えてみればこの世界って電気もないし……照明とか何かを動かす時は魔法力だし。
えっと依頼の内容は……収集や素材集めが多いかな。って、アイドルのマネージャーってなんだこの依頼。
「レム様、イベントスタッフ募集というのがあります……なんですかこれ」
「結構いい報酬だね」
なんだろうとふたりで見ていると後ろから中年の女性が声をかけてきた。
「あんたたちはこの街は初めて買い? 数年前から若い冒険者が
「アイドル? なんですかそれ?」
「まあ、偶像みたいなものかな……私らが神に
アイドル……ノブナガ……思考と言い名前と言い日本人チックだな。そう考えるとノブナガと名付けた両親あたりが転生者か?
当面の生活のため、依頼ボードからこの辺りで採取可能な収集依頼を数個と討伐可能な素材集めをいくつか受注した。
依頼は収集してきた分もあったので夕方には完了、ギルドポイントも入ったしお金もそこそこもらえたから酒場でふたりで達成祝賀会を開いた。
「明日はもっとお金になりそうな依頼を受けましょう。早く貯めればきっと良い情報が得られるかもしれませんからね」
「そうだね、にしてもここの料理って美味しいなぁ。このジャンク的な味というか肉々しいっていうか」
「レム様は肉が好きですよねぇ。嫌いなモノはないんですか?」
「いや全くないよ。ここだけの話しだけど魔物の肉だっていけるから」
つい気が大きくなってせいか余計なことを言ってしまったと思った。
「ああ、そうですよね。いいですよね、なんでも食べられるのって……何が起こっても飢えることがないですもの」
そんな話しをしていると、若い団体が大きな声で盛り上がっていた。この感じは昔の僕と同じ匂いがする━━
「今度のイベントは楽しみですな、ワシは断然ミサキ推しですよ」
「王道ですなマツオ氏は、拙はユキナ推しですな」
「ツカサ氏は新しく入ったユウコをどう思いますかな」
「ユウコですか、悪くはないですが他と比べると見劣りしてしまうですな」
なんだか学校で良く聞いたようなセリフが耳にはいる。推しを崇拝する気持ちは全国共通なんだなぁ。
そんなことを思った酒場での出来事だった。
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