第33話 初めてのギラ
依頼書とリッパンエダノキを握りしめ、モックスに渡した。
「早ぇじゃないか……って、なんでお前たちが……これは『V』ランクの依頼だぞ。どこで見つけたんだよ、おい」
「偶然に1本持っていただけです。ちょっと規定量には満たないですが1本から可と書いてあったので」
「そうか、そうか。よし、そいつは俺が引き取ろう。報酬は30,000ギラな」
「ありがとうございます。さっきの登録料の2,000ギラは引いてください」
無事にお金をゲット、無事に宿屋の確保に成功した。シュリナの強い要望により一部屋だけ」……なんだか緊張する。
「抑える時は抑えるべきです。そうしないと、欲しい材料を見かけた時にお金が足りないと困るじゃないですか」 と言っていた。 (ドウヤラ チョウ ケンヤクカ ナヨウダ)
部屋は10畳ほどの広さだが、この異世界看がたまらない。グラッセス家やハプーン家は貴族的で凄かったけど、高級すぎて落ち着かなかった。やっぱり僕はこの位の庶民感が合っているようだ。
部屋に入ると、シュリナが頬を膨らませて強い口調で声をあげた。
「それでレム様、なんで異空間を使えることを教えてくれなかったんですか!」
「聞かれてなかったし、過去に自分のことをベラベラと喋ってはダメだと教えられたんだ」
「確かにその通りですけど……わたしが薬草好きなの知ってますよね! だったら気を利かせて教えてくれてもいいじゃないですか!」
理不尽だ……どうやら所持者が少ないこのスキルは、収集家や商人にとって憧れのスキル、どれだけお金を積んでも取得したいらしい。
「考えてみてください。馬車を使ってアイテムを運ぶコストと量、異空間を使ってアイテムを運ぶコストと量、レベルにもよりますが一回の運搬で稼げる金額がどれほど違うのか……それに、馬車を牽いていると、多くの荷物を運んでいることを宣伝しているものなんです。異空間に収納して手ぶらになれば身ぐるみも剥がされにくい………… (まだまだ続く)……ハァ、ハァ、分かりましたか?」
いや、長すぎて最初の方に何を言ってたか忘れたよ。
「分かったよ、人前で使っちゃダメだってことだね」
「と、いうことでわたしが異空間を獲得するのを手伝ってもらえますよねぇ~?」
シュリナの目的は沢山の植物を採取すること。ネフィリムが言っていたが、この世界ではスキルに触れた時に獲得抽選がある。つまり、異空間を出した穴に手を突っ込めば中身は取れないまでも獲得抽選を得られるということらしい。
「レアスキルなので獲得までどれほどの時間がかかるか想像出来ません……ちなみにどうしても異空間が欲しい人がそのスキルを見かけたらどうすると思いますか?」
「付きまとわれる……最悪、誘拐なんてことも……」
「はい、正解です。お金を積まれ獲得まで自由を奪われるというのもあります。結局、獲得できずに多くの時間を奪われたという話も聞きます。と、いうことで獲得に協力してくれますよねぇ」
顔が怖いぞシュリナ……しかし、断れるはずもなく……「はい」……と項垂れた。
喜ぶシュリナ、こんな顔を見れるなら素直に手伝ってあげれば良かったなぁ。
《異空間は次元魔法スキルに当たります。他の次元魔法に触れることで獲得できる場合もあります》
あー確か、僕が獲得したのってネフィリムの時空歪曲を受けた時だったものなぁ……と、いうことは炎の魔法を受ければ、炎魔法や火耐性を獲得できる可能性があるってこと?
《そういうことになります。特にレムは転生者であり激運もちですので、その確率は飛躍的に高いでしょう》
おお、それなら多くのスキルを獲得すれば何かあったときに便利なんじゃぁ。
《はい、しかし個体ごとに保持できるスキル数が決まっています。場合によっては何年もかけて、スキルの統廃合を狙う人もいるのです》
そうか! ベルゼブブって複数のスキルを統合していたものなぁ。
《ベルゼブブをお持ちであれば、アラクレオンネのスキルメディウムと組み合わせて、蜘蛛糸に付与すれば、獲物を包み込んで食事をすることも可能です》
えっと、どういうこと?
《スキルメディウムは属性以外のスキルを付与できるようになるスキルです。糸を巻き付ければ、大食漢と悪食効果で取り込み、暴食効果を使えば回復、喰らう者を使えば経験値を得られます》
すごい……なんだそのチートみたいな能力は。
眼をキラキラさせながら催促してくるシュリナの
「よし! シュリナも寝たしベルダンディーニ教えてもらったスキルでも試してみようかな」
1本の糸では捕食する範囲が細すぎる。これを竜巻状に放出することで解決、ベルゼブブと糸を組み合わせたこの技を『
そして、新しく獲得したスキルの整理、
いつのまにかとんでもないことになった。ラノベで言うチート主人公じゃないか……なーんて冗談はさて置き、時の女神を解放したら平和に暮らしたいなぁ。
「せっかくそれなりの力を得たんだから、仲間と平和に暮らせる場所を作りたい!」
《いいですね。その仲間として一緒に暮らしたいものです。そのために、先ずは時の女神を解放してもやらなければならないがあります。わたしも協力しますので一緒に頑張りましょう》
開いているベッドに潜り込んだが、テンションが高くなっていたせいか中々眠りにつけない長い夜になったのであった。
。〇 。〇 〇 〇 〇。 〇。
「レム様、おはようございます。今日は早めに出発して魔物の核を集めませんか? 集めておけばいつでも換金できますし、納品依頼を受けておけば一石二鳥です」
「それもいいね、シルフィードに教えてもらったスキルを試したいし……薬草になりそうな植物があったら教えてもらっていいかな」
「分かりました」
両手でガッツポーズするシュリナ、ニコニコしてもらえるととても嬉しい。妹がいたらこんな感じなのかなぁと嬉しくなった。
「レム様、どうかしましたか?」
「シュリナのおかげで寂しくないなぁと思ってね」
頬を赤らめるシュリナ……「えっ……あ、そうだ、植物と言えばこの世界の中に生える9つを組み合わせると、死者蘇生ができる薬草が作れるという伝説があるんです」
「死者蘇生って死んだ人を生き返らせるってことだよね」
「はい、『九つの薬草の呪文』と言うらしいです。古い文献で読みました……それを再現したという記録は見つかりませんでしたが」
《その話しは本当です。ただ、レムの持つ死者蘇生と同等の能力だと思って下さい。本当の意味での蘇生は、
時の女神でも知らないことってあるんだ。
《わたしも女神と呼ばれていますが、神とは、ほど遠い存在です。それに与えてはいけない知識にはロックがかけられ引っ張り出すこともできません》
だから他の時の女神の場所も分からないのか……ウルドからも聞いたことなかったし。
《はい、伝えられることはキチンと伝えさせてもらいます》
ベルダンディ―の笑顔がなんだか嬉しい。シュリナも笑顔を向けてくれるし、人の笑顔を見ると心が温かくなるのは、奥底に不安を抱えているのかもしれない。
「それじゃあ、アーメルダに向かって出発しよう!」
僕たちは宿場町シルドを後にして首都アーメルダに向かうのであった。
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