第14-3話 自分の評価
「
自分の事を客観的に語らなければならなくなった和技こと『休日の女子高生スキン』に変えている
『地味で目立たない』とか『友達いなさそう』などと、マイナス面は簡単に出てくるが、和胡の口から出れば悪口となり、
「えと、ジィズマイのイベントで吸血鬼みたいな牙ができて、食べるのが大変って言ってましたね。それと、お年玉でスマートウォッチを買ったとか…」
「他には?」
「……」
無難な出来事を口にしてみたが、信用してくれる様子はないようだ。
「えーっと、従兄弟とはいえ、中学生になってから、会うことは少なくなったから…。たまにラインするぐらいなので、なかなか、和技君の事は思いつかないというか…」
「…そうだな。私も親戚とは正月や夏休みぐらいだったな」
「……」
このまま沈黙が続けば、信用度が薄いまま食事が終わってしまう。
『会話を終わらせてはいけない』その想いが和胡の口から言葉を出させた。
「えと、和技君は、地味で目立たないけれども、誠意のある人…というか、優しいというか…温かみのある人…だと思います。
「私を捜すために?
…そうか、そうだったのか。だから、和議や粂戸の友達もいたのか。
「……」
眼の前で褒められると嬉しいが恥ずかしくもなり、どんな表情にすれば良いのか分からず、和胡は誤魔化すためパンケーキを頬張った。
「とういう事は、和胡も私を捜すためにきてくれたんだな」
2口目を取ろうとしたフォークが止まる。和胡は返答に悩んだが、フォークを置いて未縫衣に視線を向けた。
「…はい。『特別狩り』の人達が一斉に失踪したというSNSを知ったので、心配になりました。
ですが『特別な人達』として、ここに来たのも事実です。細かい内容は言えません。ですが、この事件を解決すために私は動いています」
未縫衣を捜すために来たのは事実だが、素直にYESとは言えなかった。
だが、全てを隠してキレイ事だけで誤魔化すべきではないと判断した和胡は、未縫衣を真っ直ぐに見つめて発言した。
「…。そうなのか」
少し表情を沈ませたが、見縫衣は頷いた。
「やはり『特別な人達』は、私にとってはマイナスに思える部分が多くて、簡単に変える事はできない。
だが、和胡は信用する方向で良いと思えた。
もちろん、和胡が『今回の敵』ならば、いつでも消す」
ドリンクバーで入れたミルクティーを飲み干してから、未縫衣はそう答え、カバンにしまった武器に視線を向けた。
『…。とりあえずは良かった、かな?
後は粂戸たちの問題…粂戸と やふら だけで食事している分、不利になっているだろうし…』
和胡もココアを飲み干し昼食を終了したところで立ち上がる。
会計を済ませる前に粂戸達と合流するべきか考えたが、その必要はなかった。
「…」
粂戸が2人の所に現れたから。
正確には何かの衝撃で飛ばされた粂戸の身体が
「やっぱ、お前はどうしようもないクズだ」
やふら の怒号は、その後、高笑いに変化した。
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