第9話 卒業式

 桜が咲く、3月。

 俺達は、卒業となった。

 式が、終わり、野球部へ挨拶をしに行くと、

 監督に呼ばれた。

「お前達も卒業かぁ~。ところで、どうするんだ?」

 監督?ボケた?

「俺達、大学に行きますよ」。

 監督は、ガハハ、そうだったなぁ~すまん、すまんと笑っていた。

 俺、国松真は、大学の監督から、学生コーチをお願いされている。

 本当は、選手としてやりたいけど、実は、もう限界だった。

 だから、元々、興味があったコーチを引き受けた。

 そして、相棒だった松山洋一は、選手として同じ大学へ行くことなった。

 歌舞伎の襲名は、断っていた。

 昨日になって、母の兄の息子が、襲名すると連絡してきたらしい。

 そうやって、話していると、弓岡千春、来斗姉弟が、グラウンドに泣きながらやって来た。

「先輩たち、卒…卒業、卒業おめでとうございます!」と。花束を渡してくれた。

 ありがとう!と伝えた後、来斗君に言われた。

「おにいちゃんたちとあえないの?もう?

 ぼく、さびしいよ~、うわぁ~ん」と泣かれてしまった。

 来斗君、僕達だって、さびしいよ~って思っていると、洋一が、「なぁ!来斗?おねぇちゃん守るんだろ?おにいちゃん達と約束したよな?」と。

 そう、しばらく、預かっていた時に約束した。

 おねぇちゃんを守ると。

 それを聞いた千春は、泣き崩れた。

 来斗君が、よしよしってしてようやく起き上がった。

 すると、監督が、「なぁ!来斗?おにいちゃん達とあえない訳じゃない!おにいちゃん達に聞いてごらん?」と言い出した。

 かわいい上目遣いで、本当?と聞かれた。

 ヤバい!かわいいってなっていると、

 洋一が、「墨田のおじちゃんが、言った通りだよ!おにいちゃん達、大学生になるけど、あのマンションじゃないけど、ここの近くの大学だからまた会えるぞ!」

 それを聞いた千春と来斗君は、満面の笑顔だった。

 そして、キャンパスライフが始まるのだった。

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