壊れた星の直し方(5)
そして今回の依頼で向かっているのは先にも言った通り星占学部。六大老が一人、
星占学部自体は校内でもよく話題に上がる部活であり、この前は部で行った天文学の研究が何やら全国で大きな賞を受賞したと校内新聞に掲載されていた。
生憎星占学部に知人が居ないので普段の活動の詳細を知ることが出来ないのだが、機会があったら一度行ってみたいと思っていたのだ。
よくその名前から占い研究部と間違えられることが多いのだが、その二つは全くの別物であり、本当の意味で後者が話題に上がることは滅多にない。
先頭を部長と古賀が歩き、その後を夏穂と鹿子が続いて最後尾を俺が歩く。
この構図が一番望ましかったのだが、実際は部長と古賀の後ろを夏穂が歩き、その後ろに夏穂にネクタイを引っ張られた俺と、俺の腕にしがみついてまるで放そうとしない鹿子が続いている。……そしてさっきからずっと腹を鳴らしているのは俺じゃない、鹿子だ。
鹿子に関しては傍から見れば、仲の良いじゃれ合いのように見えなくもないが、実際のところ部長に俺から逃げないように捕まえておけと言われているのだろう。その証拠にこの夏穂である。
昨日の〈明主寺〉という女と言い夏穂と言い、俺のネクタイはリードじゃないと小一時間かかってでも説明してやりたい。
……と、そんなことを考えているうちにいつの間にか地学予備室へと到着していた。
「ここです。お入りください」
言葉の通り、俺達は予備室へと誘われる。
まず部長。そしてその後に俺、夏穂、鹿子の順で入った。ここまで来ればもう逃げようが無いので二人は俺から離れていた。
室内に入ると、まず一番に目を引かれたのは中央のテーブルに設置された巨大な天球儀だった。
動力が電力かゼンマイかは分からないが、毎秒僅かに動いている。
そして壁一面に貼られた天体観測の資料。最近の新聞の切り抜きもあるが、中には数年、下手すれば数十年は昔と予想される代物もあった。
研究で賞を受賞するだけの実力があるということは、この部屋の雰囲気からしてあり得なくない話だと分かる。
天球儀の周りには部員が数人、取り囲むようにして立っていた。ほとんどは女子生徒だが、男子が全くいないわけではない。実数は分からないが今は二人の姿がある。
そのうち一人は俺と同じクラスの者だった。成程、彼は星占学部だったか。今度話しかけてみよう。
そして一際異様な雰囲気を放っている人物が一人、天球儀の隣に佇んでいる。
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