壊れた星の直し方(4)
「……仕方ないわね。仕事の方が優先よ」
「えー? 私早く初狩先輩をぶっ殺したいです」
「……お前は俺になんの恨みがあんのさ」
ありがたみにテンションの上がる俺の横で、部長と夏穂が明らかに落胆する。更に鹿子に至っては恨みがましい目で俺を見ていた。知らん。俺はお前らの玩具じゃないんだ。
文学部に現れた来客は、古賀という女子生徒だった。
所属は
紛らわしいが、『占星学部』ではない。活動内容からして占星術であることは確かなのだが、名前はその限りではないらしい。
俺達文学部一行は古賀に連れられ、星占学部の部室である北校舎三階の地学予備室を目指す。
この〈星占学部〉や〈文学部〉という名前の部活から察する人も多いだろうが、ご想像の通りうちの学校は大分癖の強い文化部が多い。そもそも部活自体が他校と比べ、尋常じゃない程多いのである。
運動部については把握していないが、文化部だけで四十もの部活がある。
部活の数がそれだけあるので、毎年新入生はめぼしい部活を見つけるのにも一苦労する。
俺の時もそうだった。そしてその部活の名前だけでも入学して半月は話題に事欠かない。
吹奏楽部、茶道部、家庭科部、美術部、手品研究会、演劇部などの定番の部活動が二十個あれば、今度は星占学部、重機・ロボット工学研究部、バイオサイエンス部、
文学部もなかなかに意外な名前だが、この中ではその意外性も霞んでしまう。木を隠すなら森の中、珍妙部活を隠すなら珍妙部活の中、ということだろうか。
そして更にこの四十の部活の中の星占学部、重機・ロボット工学研究部、バイオサイエンス部、演劇部、日本戦略考察部、そして文学部の代表者(基本部長だが例外在り)が、水面下で文化系部活を管理……早い話が牛耳っているのだ。
我が部の部長を含めたその人らのことを、生徒諸君は通称で『六大老』と呼んでいる。ちなみに提唱者は不明。
わが校は生徒の自主性を重んじることを学校全体の目標に掲げているため、基本生徒会運営に指導者陣は介入しない。
それの良し悪しは別として、文化部だけでもこれだけの部活があるというのに、運動部も含めた全部活(多分八十部程)を生徒会や所定の委員会のみで捌くとなればそれは膨大な負担になるだろうし、生徒会の目をかいくぐってよからぬことをする輩が出てくる可能性も必然的に高くなる。
その為数年前からこの六大老の制度が取り入れられたそうだ。
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