壊れた星の直し方(3)
「ま、まってください部長!」
「部長ではない! 裁判長と呼べ!」
「裁判長!」
「なんだね?」
「取り敢えず罪状の説明をお願いします」
こうなったらとことん下手に出て、それとなく流すしかない。
「こうなったらとことん下手に出て、それとなく流すしかない……だそうだ」
「きょーっけい! きょーっけい!」
「なあ゛ああああああああああああ⁉」
しまったァァァァァァァァァァッ! 部長は生徒会長でも裁判長でもなく、エスパーだということを完全に失念していたッ!
周りでは夏穂が囃し立て、鹿子に至っては広告を振り回しながらどこからか取り出した吹き戻しを吹き散らかしている。
ああ、もう駄目だ。完全に詰んだ。完全敗北を喫した俺は、ついにうなだれるしかなくなった。
騒ぐ女子軍。埃っぽい部室。嗚呼、神よ、貴方は満足な死に場所すら私に与えてくださらないのですか。ならば俺と共に死ね。
「判決! 罪人、初狩蘇雨を焼肉奢りの刑に処す!」
目の前の神様めっちゃ俗物の塊やん。それに鹿子含めとか、どれだけの拷問をすれば気が済むのだろう。
とにもかくにも、ここから逃げなくてはとんでもない目に遭わされるのは必至だ。
前方には
俺はもう反論を返す気力も無く、ただ黙って座っていた。だって逃げられるわけないだろ? こんな人を〈☆絶対殺すステータス☆〉に全振りの超人ども相手にどうすりゃいいんだよ。
もし学校に犯罪者が侵入してきたり、それこそ学校ごと爆発すればまだ希望はあるが、そんなの期待したって起こる確率は無に等しい。ここから俺が逃げる方法なんて……
「失礼します、こっちの準備が終わったのでそろそろ来ていただいてよろしいですか?」
「僥倖ッ‼」
突然俺が大声を上げるもんだから、来客含めその場の全員が驚き飛び跳ねる。
おっといけない、唐突の来客に俺は拘束されていたことも忘れ、感激のあまり椅子の上で大絶叫してしまった。
来客。それはこの部活にとって、さして珍しいことではない。それもその筈、何故かこの文学部という部活はその名を語っておきながら、活動内容が校内・校外問わず様々なことを手伝うという、所謂「便利屋サービス」なのである。
この活動が何年前から続いているのかは定かではないが、部長曰く比較的最近になって始まったらしい。
そしてこの活動内容こそが、『俺がこの部活に入ろうとしたきっかけ&俺がこの部活に入って後悔した原因』であった。
つまり、その活動内容に仕様上、問題事を持ち込む人々が頻繁に尋ねてくるというわけだ。
最初はいろんな経験が出来ると思っていたのだが、実際は部長たちの持ち込むトラブルがほとんどだった。
ああ、いつもは煩わしい来客も今日に限ってはこの人がまるで天使のように見える。よかった、来客だ。
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