亮介の読み聞かせ
「先週の火曜日、4時間目に図書室であった児童書の紹介を聞いて、読みたくなったぞ」亮介は直美の小皿に彼女が好きなアユの塩焼きとチーズを入れ焼いたジャガイモを入れながらそう言った。
居間の机の上に止まったインコのタルトが林明日香の『小さきもの』を歌い始める。「寝る前に読み聞かせして」「ああ」
入浴を終えた亮介が居間で短編小説を読んでいると、胸ポケットにユキヤナギが刺繍された薄い緑の寝間着を着た直美が父親の手を握る。
タルトにエサをあげていた明人が「『ビーヘイバー』はどうだった?」と居間のソファーに座っている美月に聞く。
「紺色のテントの机の上に、銀色の三日月の髪留めが置いてあって驚いたなあ。
亮介のご両親にスマートフォンで写真を撮って送ったら、パソコンの画面に映った時に居間で踊ってた」美月は手の上に乗せた髪留めを見ながら、小声で答える。
「わたくしはドラムの音で亮介を起こした後、温泉小4年で野球部のマオと漢字の
暗記をしました。
2年1組の松谷ひかりと佐田ひなたは、イギリス人男性のアントニオさんがアイスクリーム屋で同じ劇団員だったアイリーンさんの首を絞めているのを見て、相手が泣いていても椅子でたたいていたことを後悔しているとわたくしに言っていました」
「参加者の中に、銭湯高校の高見強一がいた。小町通りのマラソン大会に向け、
校内放送と清掃を終えた後に女子部員たちとも一緒に走ってるらしい。
銭湯高校でも幼なじみの三橋大貴と一緒に、新しく図書室に入った本の紹介とお昼に流す曲決めをしていると言っていた」
亮介が言うと、「放送部で、それぞれ好きな女性を守ろうと奮闘する兄と弟を演じた後に新入部員が40人になったらしい。
朝読書で紹介された本を読もうと、図書室に来る人も増えている」と聡が答え、カップに入れたレモネードを美月に渡す。
「2年1組にいる市原美子、木山森子、青木坂子、梅田道子は同級生の海子を
泣かせているらしい」聡はレモネードを飲みながらため息をつく。
「大学生のお兄さんたちと泉二郎先生が、紺色の手ぬぐいを振りながら『おばけの救急車』踊ってたよね」直美が噴き出す。
亮介は「はははっ」と小声で笑い、寝室で雷、風、影、川の名を持つ4つの猫の一族の内面変化と戦いが描かれ、リーダーの猫の名に『スター』がつくエリン・ハンターの小説『ウォーリアーズⅣ 6 最後の希望』を読み始める。
『聡明だが人間に飼われていた過去を持つ族長やその甥を憎む』『何度殺されても森に住む猫たちのリーダーになろうとする』2匹のオス猫を熱演する亮介。
直美は満面の笑みを浮かべながら寝息を立て始めた。レモネードを飲み終え髪留めを机の上に置き寝室に入って来た美月が、直美の手を握りながら寝た。
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