子ども編 ひなたとひかりの変化
小学生用の茶色いベストと紺色のジーンズ、薄い黄色のパーカーと黒いタイツにブーツをそれぞれ着たひなたとひかりは古本屋の近くにある図書館で美月に手紙を書いていた。
『美月先生 お元気ですか?わたしたちは今週の水曜日まで学校に来られないので、図書館で過ごしています。
コロナでお父さんとお母さんの寿司屋がそれぞれ閉まって、つらい気持ちを言えずに5歳の弟や妹も泣かせていました。腕の痛みで夜は眠れません。ひかりとひなたより』
二人は手紙をポストに入れ終え、桃の肩を軽くたたく。「桃。あなたを嫌な気持ちにさせてた。ごめんなさい」
「文房具店で買ったの。使わなくてもいいから持ってて」桃は「ありがとう」と答えてひかりから渡されたノートをランドセルに入れた。
ひなたとひかりが靴下にトマトジュースをかけた男の子の40代の父親が、3人を追いかけてきた。
児童書を棚に戻し図書館の外にある階段を下りるが、男が投げたハンマーがひかりのランドセルに当たり、転倒。ひなたが駆け寄り「立てそう?」と声をかける。
買い物袋を持った男性が、3人に近づいてきた男の目に自分の自転車のライトを当てる。
「亮介先生」「佐田、田畑、松谷。アーノルドさんと俺でこいつを押さえてるから、秋次郎さんに電話するんだ」
男はアーノルドに腕を押さえつけられても、ひなたとひかりにハンマーを当てようとしていた。
桃が父親の小説に入っていた電話番号のメモを出し、公衆電話で秋次郎に自分たちの名前と男に追いかけられたことを言い終え、6匹のオスバチに腕を刺された男は鎌倉警察署へと連れていかれた。
「この経験はお前たちの『苦い薬』だ」聡がひかりとひなたに言うと、二人は無言でうなずいた。
「パパ」緑色の子ども用フリースを着た直美が両腕を振りながら、父親にヘルメットを着けてもらう。
「手袋もつけたほうがいい」亮介は娘と一緒に自転車に乗り、横断歩道を渡ろうとする。「その買い物袋、俺が持っていきます」と言ってアーノルドが亮介の買い物袋を腕から下げ、二人と一緒に鎌倉駅の改札口に入った。
「ありがとうございます」亮介は自分の買い物袋をリュックサックにしまい、アーノルドと握手をし直美と一緒に手を振った。
『田原』と書かれた表札がついた2階建ての一軒家のドアを開け、手洗いとうがいをしてトマトやキャベツなどをテーブルの上に置く。『おかえり直美』と言いながら直美の肩に止まったタルトに、「タルト、俺も帰ってきてる」と亮介が声をかける。
「ロールキャベツを作るぞ。直美は肉をキャベツで巻いてくれるか?」「うん!」
できあがったロールキャベツやわかめのみそ汁を食べながら、亮介は「俺は10月10日で28歳だ。本好きな子になったな、直美」と言った。
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