第28話夕食

 体が動かないほどに付かれていた凪だったが、3時間経つと疲れは取れ、今度は空腹で凪は目を覚ました。

 起きたばかりの目で部屋を見渡した凪。

 凪の部屋には、マッサージをしていたロティの姿はなかった。

きっと、『夕飯の支度でもしているのだろう』と、凪は勝手に解釈する。

 ベットから立ち上がった凪は、自分の空腹を満たすため、夕飯を作っているであろうロティのいるキッチンへと足を運ぶ。

 凪の予想は的中。

 キッチンでは、ロティがフライパンやおたまを手に持ち何かを炒めている。勿論、ロティが炒めている食材が何かなんて凪には分からない。

 キッチンに入ってきた凪に気づいたロティは、料理をしながら話しかける。


 「どうかなされましたか凪様?」

 「お腹がすいて…」

 「なるほど。もう少ししたらできますので、リビングの方でお待ちください」

 「分かった」


 キッチンから出て、リビングにある椅子に座る凪。料理のいい匂いを嗅いでしまったせいか、さっきよりも増してお腹がすく。

 朝の一件以来、食べ物に何ら疑問を持たなくなってしまった凪。

机の上に置かれていく夕食に『美味しそう』以外の感情が湧かない凪は、2日目にして既にこの世界に順応してきつつある。

 夕食を机の上に置き終わったロティが凪の前の椅子へと腰掛ける。

 机の上に置かれた料理は2人分だけ、おかしいと思った凪はロティに尋ねる。


 「セレーネの分はどうしたの?」

 「セレーネ様は先に食べ終え、今はお仕事中です」

 「お仕事?」

 「はい。凪様の時と同様に、命を落としてしまった人間を異世界へと案内するお仕事です」

 「あれって仕事だったんだ…」

 「そうです。残酷な話ですが、人間が命を落とさない日などめったになく、ここの所は毎日お仕事をしていますね」

 「そうなんだ…」


 まるで社畜のような生活を送るセレーネに、少し感心する凪。

 全く知らない人間に対し、自分の生活時間を削ってまで行動できるなんて相当なものだ。

 セレーネのことを考えている凪に、ロティが話しかける。


 「凪様。セレーネ様のことをよく見ておいてください。いつも通りに見えて実は結構疲れている時もあるんです」

 「……」

 「話し過ぎてしまいましたね。冷める前に召し上がりましょう」

 「ああ…うん」

 

 すっかり話し込んでしまった凪とロティは、夕食を食べ始めた。

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