第26話帰り道

 不本意ながらマークとの勝負が決まってしまった凪は、明日のことを憂鬱に思いながら帰路についていた。

 歩いている凪の目の前には、同じ目的地に向かっているセレーネが少し先を歩いている。

 マークの挑戦状を勝手に受けたセレーネだが、凪に何かアドバイスをすることもなくいたっていつも通りだった。

 セレーネは「大丈夫」と言ったが、凪からすれば何が大丈夫なのかわからない。

 セレーネの中では凪がマークとの勝負に絶対に勝てると自信をもって思っている。

 しかし、セレーネはその根拠を凪には教えない。

 マークには少し苛立ちを覚えたセレーネ、凪にはぜひとも完膚なきまでに叩き潰してほしいと願うが、それとは別にセレーネは、この状況で少し困っている凪を見るのが新鮮で楽しくなっている。

 あまり見ない凪の姿に、セレーネは嬉しくながらも凪にはばれないように隠している。


 「はぁ~…」


 セレーネが何も言わないなら考えてるだけ無駄だと思った凪、今日起こったいろいろな出来事でたまった疲れを溜息で吐き出す。

 それを見たセレーネがなんとなく思ったことを凪に聞く。


 「そういえば…今日の学園での生活はどうだったかしら?」

 「なんか…疲れた」


 その一言に尽きる。

 前の世界では一日の九割が一人の時間と、全く人と関わらない生活をしていた凪、この世界での会話イベントの多さに身体的ではなく精神的に疲れがたまっている。

 しかも、会話をする人物の一人一人が癖が強い。

 ほとんどの生き物には興味がないで済ませる凪だが、エナとマークに関しては苦手どころか嫌いと言えるほどに、凪が関わりたくないと思う人物になっていた。


 「あ~…なんとなくわかる気もするわね」


 凪の表情を見て心情を察するセレーネ。

 セレーネもエナとマークのことを少し面倒くさいと思ってしまっているため、凪にかけれる言葉が思いつかない。

 エナとマークのことを思い出すと余計に疲れてくる2人。

 疲れてくるとテンションも下がり、会話を続けようと思わなくなってしまう。

 結論、凪が人との会話に慣れていないから疲れるわけではなく、エナとマークが特殊なだけ。

 そんな、状況は一向に変わらない結論が出たところで、凪とセレーネは家の前へと到着し、セレーネがメルヘンに飾りつけされたドアを開く。

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