第23話暇

 「おーい、みんな早く席に就け~」


 教室の扉が開くとともに、気だるげな声をした女性が入ってくる。

 同時に、今まで教室内で立っていた生徒達が一斉に自分の席へと着席する。

 気だるげな声の女性は先生なのだろうと察する凪。

 先生と思われる女性は、教壇に立ち、一瞬凪の方を見てから生徒達に向けて口を開く。


 「皆気づいていると思うが、今日からセレーネ様のペットが生徒という形ではないが、このクラスのメンバーとなる。仲良くはしなくてもいいがイジメに該当するような行為はくれぐれも止めるように」


 先生が生徒達に注意喚起をする。

 どうやら凪はセレーネのペットとして学校側に通されているらしい。

 他人にどう思われても気にもしない凪、反論もせずセレーネのペットであることを認める。

 生徒達の視線がまた凪の方へと集まる。

 先生に一応紹介されているのかもしれないと思った凪は、声は出さずに軽く会釈だけして頭を上げる。

 それを確認した先生が話を続ける。


 「それじゃあ、挨拶は済んだから授業始めるぞ~」


 凪を教室の隅で立たせたまま、授業が始まる。

 授業内容は凪が全く聞いたことない歴史や、見たことのない文字が黒板に羅列されていることが多く、凪にとっては退屈そのものだった。

 退屈すぎる凪は、目の前で授業を行っている光景を、前の世界の自分と重ねる。

 前の世界でも孤立していた凪、考えてみれば、凪にとって今の状況は毎日のように経験していた事と然程変わらない。

 ならば、前の世界の自分は退屈と思っていたのだろうかと考える凪。

 少なくとも、前の世界にいた時はこんなこと思わなかっただろう。

 自分の中で何かが変わり始めているのがわかる凪。

 しかし、肝心の何かが凪にはわからない。

 普通の人間なら少し考えただけでわかるのかもしれない。

 だが、生き物と接してこなかった凪は論外。

 退屈で考え始めた凪だったが、理解できないまま時間は過ぎていき、結局何もわからないまま今日の全授業が終わってしまうまで凪は考え続けた。

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