第22話マーク

 エナと別れた二人は目的の教室前へと来ていた。

 ここまで来るまでに起きた出来事で、凪の心情はボロボロ、早く1人になりたくてしょうがない。

 昨日もだが、凪がこの世界に来てから1人の時間が前の世界の時と比べて極端に減少している。

 故に、凪は1人ロス状態になってしまっている。

 今すぐにでも学園から出て1人になろうかと迷う凪。

 しかし、そんな凪の状態を見抜いていたセレーネが一手先に行動し、凪の服の袖をつかみ動けないようにしている。

 凪はセレーネに袖をつかまれたまま教室へと引っ張られる。

 教室の扉が開いた瞬間、中にいた生徒が一斉に2人の方を見る。

 凪はいつも通り誰とも目線を合わせないために地面を見るようにうつむく。

 セレーネもいつものように、堂々と自分の席へと凪を引っ張りながら足を運ぶ。


 「……」


 なんだか、凪が思っていた反応とは違い、生徒たちは2人を見ているだけで騒いだりはしない。

 妙に落ち着いているが、2人を見つめる目はものすごい威圧感がある連中ばかりだった。

 セレーネに対する反応からして、明らかにこの世界で今まであってきた人達よりも高位の存在に見える。

 そんな、静かな空間の中、1人の少年が2人の方へと近づいてくる。

 少年が2人の前で足を止め、あからさま上から目線で喋りだす。


 「おやおや、噂は本当だったとは…この世界に人間を連れてくるなんて見損なったよセレーネ」


 少年の凪を見る目は劣等種を哀れ見るような目だった。

 絶対に目を合わせたくない凪、俯いたまま少年の声が聞こえる方にだけ体の方向を向け、凪は自分の頭皮を少年に見せつけるような状態になる。

 そんな状態の凪に、少年が話しかける。


 「おい、人間!僕の名はマーク。この世界は生きにくいと思うがせいぜい頑張ってくれたまえ」

 「……」

 「要件はそれだけかしらマーク?用が済んだのなら早く自分の席に戻って頂戴」

 「…無視とは、度胸だけはあるようだな。これからよろしくね、人間君」


 マークは最大限の皮肉を残して自分の席へと帰っていく。

 目の前からマークが消え、数分ぶりに顔を上げる凪。

 凪は自分も座ろうと席を探す。

 そんな凪に気づいたセレーネが思い出したかのように言葉を吐く。


 「あっ、あなたは生徒ではないから席はないわよ。次の自由時間になるまで教室の端で観察してなさい」

 「まじか…」


 凪が教室の端に着くと同時に学園中にチャイムが鳴り響いた。

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