第18話注目

 酔ったロティを置いて家に出たセレーネが振り返り凪へと言う。


「さて、これから学園に向かうんだけど…私と一定の距離を開けて歩いてちょうだい」


 セレーネから唐突に言われた凪。

 凪は特に気にすることなくセレーネの少し後ろを歩く。

 まだこっちの世界に来たばっかりの凪は辺りを見渡しながら観光気分で道を歩く。

 早く学園に行かないと遅刻してしまうセレーネは競歩選手のような早歩きをしている。

 『そこまでするなら走ればいいのに』とセレーネを見て思ってしまう凪。

 

 「それにしても…」


 凪は気づく。

 道を歩くセレーネを周囲の人たちが見ていることに。

 そしてついでに見られる凪。

 ここまで注目されるのは初めてな凪、できるだけ目が合わないようにと視線を下げる。

 その姿はまるで陰キャだ。

 そんな凪とは正反対なセレーネ、まるでランウェイを歩くモデルのように堂々と歩いていた。

 周りの人たちからすればセレーネは気高いイメージなのだろう。しかし、凪のイメージは違う。

 本当のセレーネは少し凪に似ている。

 経緯は違ってもセレーネも凪のように人間関係に興味がないようだった。

 それは凪のように生き物に興味がないからではなく、人間関係に取り組みすぎた結果なのだろう。

 誰も本当のセレーネを知らない。

 凪すらも憶測でしかわからない。

 ただ、凪は時々見せるセレーネの表情が何かを隠しているように見えた。

 そんな謎だらけのセレーネの後ろを凪は、黙々とついていく。

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