第11話さらなる憂鬱

 「さて、どうしよかな…」


 突然一人になってしまった凪だったが、特に思うこともなかった。むしろ、前の世界では一人でいるのが当然だったせいか、この状況にものすごい落ち着いていた。

 今まで人と接してこなかったからか、それともこの世界で接してきた人たちが特殊だったのかわからないが凪は人生で一番疲れていた。ただ、疲れてるといっても特に眠気はなく、だからこそこの状況でどうしたらいいか迷っていた。


 「よいしょっと…」


 この世界のものに関して何もわかっていない凪はとりあえずこの部屋に来て一番気になっていた古そうな本を手に取り開いた。


 「…読めない」


 この世界の文字は日本語でも英語でもなく凪にとっては初めて見る文字だらけで全然読めなかった。


 「字も違うのか…」


 この世界にこれからどれぐらいいるかはわからないが、文字が読めないのはまずいと思う凪。しかし、前の世界とは違って、この世界には学校のような機関があるかもわからない。故に、文字を学ぶには誰かに教えてもらわなければならない。しかしそれは、生き物とできるだけ関わりたくない凪にとってはできればしたくないことだ。

 どうにか自分だけで解決できる方法を考える凪だったが、当然あるわけなく、どうしようもない現実に凪はため息をつく。


 「凪様、お食事の準備ができましたのでリビングまでお越しください」

 「あ、わかった」


 部屋の前からロティが離れていくのが足音で分かる。ロティの足音が完全に聞こえなくなったことを確認してから凪は自室を出た。

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