第117話 11月5日 土曜日4

 後輩に囲まれつつ大学祭を訪れている俺。今も――後輩に囲まれている。


「向こうには――展示発表もありますよ」


 俺の横では東山さんが各所案内をしてくれている。先輩の俺――なんも分かってない。


「なんだろう。東山さんが先輩に見えてきた」

「ちょっと調べただけですよ」


 いやいや、にしてもだよ。そこそこ広いはず。2会場もあるのに、ちゃんとわかっている。そりゃパンフレットを見たら――なのかもしれないが。東山さんすらすら説明してくれるからな。俺かなり助かっていたよ。迷子になる心配もないし。


「先輩。このあとグラウンドも行きましょうよ」

「食べ物ももっとあるみたいですからね」

「ちょ、食べ物はいいって」

「それは姫子だけ」

「ってか、先輩はどこ見たいですか?」

「ねえねえ雑貨店とかもあるみたいだよ」


 すると、俺と東山さんのところに一緒に歩いている後輩が――って、マジで名前がわからん。東山さんか。胡乃葉が名前で呼んでくれたらいいのだが――その機会がないんだよな。とほほ……いや、再度聞くのもだしな。今の雰囲気壊しそうだから。だから――。


「時間はあるしのんびり回ろうか」

「「「賛成!」」」


 なんとか俺はやり過ごしていた。これで――いいかな?あとで胡乃葉に名前聞こうかな?今後も会う可能性あるもんな。その時に名前知らないと――だから。


「ちょ、みんな――先輩に近寄りすぎ」


 すると、急に胡乃葉が近くにやってきた。って、胡乃葉は胡乃葉で先ほどからいろいろなところを見ているので――ちょくちょくこちらのことを忘れているのか。気が付いて慌てて戻って来るという繰り返しだ。


「胡乃葉ちゃん。勝手に進んでいくから」

「いやだって――楽しいじゃん」


 そりゃこれだけにぎわっていていろいろあればか。


「ってか、先輩は胡乃葉のものじゃないでしょ?」

「うんうん」

「ちょ、もう!先輩ここはびしっと」

「びしっとと言われても――」


 何を言えばいいんでしょうか?誰か教えて。


「あっ、楠先輩。この先展示みたいですよ」

「姫子ちゃんさらっと先輩捕まえすぎ!」


 胡乃葉が騒いでいるが――それをスルーするかのように東山さんは再度俺にパンフレットを見せてくれていた。って――にぎやかだな。俺の周り。


「ちょ、胡乃葉ちゃん。楠先輩に説明してるのに」

「むー、これは去年いなかった先輩が悪い」

「胡乃葉。さっきからいろいろめちゃくちゃ言ってないか?」

「むー」

「楠先輩。胡乃葉ちゃんが噴火するまであと3秒」

「短いな」

「姫子ちゃん!」

「「「ほんとだー」」」

「もう!みんな!」


 と、とりあえず――楽しく回っている俺たちということにしておこう。

 ちなみにこの後から胡乃葉がピッタリ俺の横を歩くようになったのだが――それはそれで――周りの女性陣を楽しませることになったのだった。今日の胡乃葉――何をやってもらしい。ちなみに食べるものはちゃんと食べていたな。 

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