第110話 11月4日 金曜日4

 名古屋に来てからしばらく。俺の両手は荷物でいっぱい。ということにはなっていなかった。今は胡乃葉のカバンとかわいい小さな袋1つだけ。胡乃葉は無限買い物というのかは知らないが(今勝手に考えた)。どんどん俺に荷物を渡してくるということはしなかった。よかったよかった。

 ちなみに俺が今胡乃葉のカバンと小さな袋を持っているのは荷物持ちの為。あれ?結局荷物持ちしているって?いや、今居るお店が小さなお店でね。店内が学生とかでにぎわい通路も狭い感じだったので、無駄なものはというか。俺が持っているよ。と言ったからの状況だからな。問題なしだ。

 にしても胡乃葉――楽しそうに買い物中だ。俺忘れられてる?それはないか。


 それから数十分後のこと。


「――すみません。ちょっと先輩のこと忘れてました」


 アハハ……と言った表情をしつつ。物色を終えた胡乃葉が戻って来た。


「……まあ問題ない」


 忘れられていたか。そりゃ存在感ないからな。お店の外で待っているだけ。忘れられるな。仕方ない。


「えっと、先輩も何か見たいところあったら」

「いや、あまり来ないからな。何があるかわからないし。胡乃葉にぶらぶらついていくのもたまにはいいかとか思ってるし」

「そうですか?」

「ああ」

「えっと――じゃあ次は……って、先輩。おなかすきません?」

「えっ?ってか、今何時だ?」


 俺たちは建物の中に居るので外の様子がわからないし。俺も時間を気にしていなかったため。久しぶりにスマホを出して――わぁお。


「もう19時かよ」

「すみません。私も気が付いたのさっきで――先輩ドーナツ屋行きたいですよね」

「いや、必須ってわけじゃないし。どうする?何食べたい?」

「えっ、えっと――味噌煮込み?」


 ちょうど目についたのだろう。胡乃葉がお店を指差しつつつぶやいた。そうだな名古屋だし。味噌煮込みうどんありだな。


「食うか」

「いいんですか?他にもあると思いますが――」

「問題なし。行こう」

「あっ。はい」


 それから俺たちはお店の中へ。少し並んでいたので、その間は待ちつつ雑談をしていた。ってか、やっぱり胡乃葉何か言いたいことがあるみたいで、話している時に言いかけていたが――なぜか恥ずかしそうにして、すぐに誤魔かす感じ別の話をしていた。いや、さすがに気になるんですが――って、聞くことはしなかったんだがな。俺も聞くタイミングを逃していたから。

 なお、そんなあと、俺たちは美味しい味噌煮込みうどんにありつきましたとさ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る