第95話 10月30日 夜 日曜日16

「——ってか、やっぱ、2人仲良しなんだな。砕けてるというか。話しやすそうに話してるな」


 なんか変な空気。いや、決して悪い空気ではなかったが。喫茶店を出てから――何していたっけ?そうそう、近鉄とJRどっちの駅行きます?的な質問からずっと話していた俺達。胡乃葉、東山さんが何かコソコソやり取りを先ほどからしているのを俺は見ていたのだが。そんな光景を見つつつぶやいた。

 すると、2人がこちらを見てきた。


「それを言うなら先輩もですよ?」

「ですね。楠先輩もちゃんと話すようになって、それ程経ってませんがとっても話しやすいですよ?」

「そう?」

「「はい」」


 ハモった。って、自覚はないが――俺、どうやら話しやすい人らしい。そうなのか。もしかしてそれもあって旺駆里が絡んでくるのか。なるほど、俺――話しやすいのか。

 って、ふと気が付いたが。俺達お店を出てからほとんど、進んでない。少し歩いただけで立ち話という形になっていたので、駅にたどり着かない俺達だった。あれからずっと話してないか?全然駅に近づいてないぞ?って、マジで今は歩いてもないし。話してばかりだった。


 結局。俺達はお店を出てからもしばらく話していたことにより。さらに数十分その場で時間が過ぎていた。

 やっと駅に着いた頃には――昨日よりかは早かったが。そこまで変わらないような時間となっていたのだった。どんだけ話しいていただよ。どうでもいい事を。って、後半は胡乃葉、東山さんが何やらやり取りしているって感じだったがな。

 ということで駅構内。


「じゃ、また明日。胡乃葉ちゃん。あっ、楠先輩も会ったらです」

「ああ、おやすみ。気を付けて」

「おやすみ。姫子ちゃん」

「はーい」


 すごく雰囲気が明るくというか柔らかくなった東山さんが今日も津方面のホームへと1人で向かって行った。

 にしても、話すって大切だね。昨日とは大違い。ここまで変わるというか。昨日は小さくさせていた。話しにくい雰囲気だったんだろうな。そんなことを俺は思いつつ。俺も胡乃葉と一緒に名古屋方面のホームへと進んだ。そして既に止まっていた普通電車に乗り込んだのだった。


「地味に遅くなったな」

 

 開いていた座席に座り胡乃葉に話しかける。胡乃葉は隣に座りながら返事をしてくれた。


「基本姫子ちゃんがおしゃべりだからです。今日は特に――とも思えましたけど」

「昨日の感じからすると、大人しいと思っていたんだが。周りが先輩ばかりだったからか。誰かさんが不参加だったから」

「いや、昨日は――です。って、あれが大学では普通です」

「なるほど。ってか。胡乃葉」

「はい?」

「ずっと引っかかっていること聞いていいか?」

「なんですか?」

「いや、話の途中でさ。東山さんが裏切ってるとか言ってたアレさ」


 これこれ、いや、気にするなと言われるかと思ったが。ってか、俺だけかもしれないが。ちょっと頭の隅にずっと残っていたんだよ。


「あー、聞いちゃいます?」


 すると、胡乃葉がちょっとえー、という表情。怒っているとかではなく。何だろうな。興味あるんですか?的な感じで俺を見ながらつぶやいた。

 

「……もしかして、聞いたらヤバかった?」

「まあいいんじゃないですか?もう姫子ちゃん居ませんし。本当に裏切者は裏切者ですから」


 先ほどまで仲良く?仲良くだよな。なんか微笑ましいというのか。突っつきあいもしていたし。

 そんな2人だったはずだが――胡乃葉が笑顔で裏切者。というのはなんというか。引っかかるんだよな。ろくでもないことのような気はしているのだが――気になるっちゃ気になることだ。だから聞いた俺だった。

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