第93話 10月30日 夜 日曜日14
ハロウィンのイベントに来たと思ったら――ちょっと大学前でのお菓子配り?だったか。それを見たくらいで、その後は後輩2人と喫茶店で話していました。という現在。改めて思うと何をしに来たのだろうか……。
とりあえず今はお店を出たところだ。
「じゃあ、駅行きましょうか。楠先輩。胡乃葉ちゃん」
「うん。あっ。先輩は?どっちで――帰りますか?」
ふと、胡乃葉に聞かれて、俺は喫茶店を出ながらちょっと考える。いつもなら駅に近いJRだが――。
「あー、じゃ、俺も――JRはまだあるが。今の場所から近い駅は近鉄だからな」
返事をしつつ。いつの間にか少し離れていた2人を追いかける。
いや、ホント目の前ってか。ここからJRまで歩いている間に最寄り駅着きそうだからな。
俺が2人に追いつくと、こちらを振り向きつつ東山さんが話しかけてきた。
「そういえば楠先輩はどこなんですか?昨日名古屋方面のホームに行った――しか知らないのですが」
そういえばそうだ。昨日どことは言わなかった気がする。
「ああ、そうか。俺は朝日が最寄駅になるんだよ。ここから数駅先」
東山さんに聞かれたので俺が答えると。あれ?俺余計な事言ったかな。少しだけ間があってから『——へぇ。ふむふむ』などという東山さんのつぶやきが聞こえてきた。
これは――何かピースが東山さんの中でハマったのか。などと俺が思っていると。すぐに東山さんはニコッとしてから、胡乃葉を見た。
あれ?本当に俺余計な事言った?いやいや、普通の返事しただけだよな?自分の最寄り駅を言っただけ。なのに――何故?
俺がちょっと考えていると、そのまま東山さんはわざとらしく。胡乃葉に確認した。
「あれれー?確か胡乃葉ちゃんも――同じ駅じゃなかった?」
あっ、納得。そういう事か。
「——い、一緒だけど?たまたまだよ?」
「すごい偶然。って――そういえば、さっき2人とも1人暮らし。そして――胡乃葉ちゃん。今日は先輩の家に――居たと。これはこれは……」
どうも東山さんの中で勝手に妄想が膨らんでいる気がする。ってか、東山さんって、わかってくるとというか。慣れてくるとというのか。昨日はオロオロばかりって感じだったけど。胡乃葉と話している時は――優位。優勢?というか。主導権握っている感じで結構おしゃべり――って、そうか。昨日は完全に先輩。俺達が囲んでいるような状態だったからか。そりゃそうだ。そこで胡乃葉と話すノリで話せばいいと言いうのは――無理だな。って、余計なことを俺が考えている間に東山さんの妄想はさらに膨らんでいる様子だった。
「ちょ、だからさっきも言ったけど――ロフト。ロフト見に行ったの。先輩のところもあるからどんなのか見せてほしいからって――ので」
「そして、ちゃっかり料理しますアピールを披露したと。ふむふむ」
「してない、サンドイッチ作った――って――うん?その話した?」
東山さんの言葉に何故か慌てつつ答えていた胡乃葉だったが。途中まで言って言葉が止まった。ちなみに俺もあれ?と、2人の話を聞いて思っていた。というか。声に出た。
「その話は、してない気がするな」
俺は自然と2人の会話に口を挟んでいた。
いや、これは確かなことで、確か先ほどまでいろいろ話してはいたが。お昼ご飯の事は触れてなかったからだ。だから東山さんが胡乃葉の作ってきて食えた昼食に関して言っているはずがない。もちろん胡乃葉が話していれば別だが――って、すると、東山さんの表情が笑顔。ニヤニヤになった。これは……やられたな。
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