第73話 10月30日 日曜日4

「お、お邪魔しまーす」


 ちょこちょこ?と言うべきだろうか。他人の部屋だから警戒というのか。男の部屋だからか。いろいろ見つつ胡乃葉が入って行く。ちなみにだが、コノハが行きたい言ったんだからな?先に再確認しておくぞ?俺が来い来いとかで連れて来たではないからな?これ大切。っか、なんかいろいろ見られると恥ずかしいのだが。胡乃葉さんよ。チェックやめてくれ。


「——おお、先輩、部屋めっちゃ綺麗じゃないですか」


 すると、部屋に入った胡乃葉が褒めてきた。とりあえずクリアか?


「お褒めをありがとう。昨日掃除してよかったよ」

「もともと散らかってなかったんじゃないですか?押し込まれている形跡もないですし」

「いや――まあ漁るなよ?」

「そう言われると漁りたくなりますね」


 ちょっと悪い顔を一瞬した胡乃葉。そんな表情もするんだな。と俺は思いつつ。漁られるとなのでね。


「おい」

「嘘です。って、先輩もこのビーズクッション使ってるんですか!?」


 そして部屋に入って早々。胡乃葉が隅っこに置いてあったビーズクッションに向かう。あれは、俺のお気に入りゾーンの一つである。


「あー、それあれば基本快適だから胡乃葉も持っているのか?」

「はい。あります。引っ越しの際に買ったんですよ。そして、わかります。わかります。私もめっちゃこの上でめっちゃ生活してます。大きいですし気持ちいいですよね」

「同じものとはまさかだな」

「合いますね。って、これ一時期売り切れとかでしたよね?」

「あー、そういえばだな。でも今は――」

「多分普通にありますね」

「ブームは――か。でもまさかだな。同じものあるとか」

「ですね。って、うわっ。先輩のところ、ロフトへはハシゴじゃなくて普通に階段なんですね」

「えっ?ああ、だな」


 ビーズクッションの次はロフトの方へと移動する胡乃葉。まるで子供のようにはしゃいでいるように見えるのは――言わなくていい事か。俺はそんなことを思いつつ胡乃葉が階段へと近寄って行ったので俺も近寄りつつ話す。


「部屋を探している時に取り外しができる階段のロフトの部屋もあったんだが」

「私のところそれです。いらないときは壁に――って感じなんですよ」

「はじめはそっちもいいと俺は思っていたんだよ。でも部屋選びの時に室内見せてもらって梯子登って気が付いた」

「「寝惚けていたら降りる時落ちそう」」

「——えっ?」

「おお、合いましたね。先輩」


 何故部屋が狭くなる階段の方のロフトを俺が選んだか話そうとすると、ぴったりのタイミングで胡乃葉が口を挟んできた。


「マジで?」

「はい。だから私もこんな部屋が狭くなってもいいから階段の――って思ったんですが。空いてなくて、で、結局梯子タイプになりました」

「そうだったのか。俺の時は両方あったからな」


 ちなみに俺。特に家探しで困るというか。希望の部屋がなかったー。ということはなかったな。


「いいなー。まあ使っていたらもう慣れてきましたが」


 少し階段を上りつつ胡乃葉が言う。


「ちなみに落ちた?」

「落ちてないですよー。まあ、危ないときは多々ありましたが――」


 あはは……という表情を胡乃葉はしているので――あれはガチで落ちかけたな。


「——やっぱりか」

「いやだって大学入ってすぐの1週間くらいって疲れませんでしたか?」

「めっちゃ疲れた記憶がある。慣れないことばかりでな」


 そうそう、全部が初めて。周りもわからん。でも自分で行動しないと――ってので、わけわからん。って――なんやかんやで時は過ぎて今に至るというね。俺——成長しているのかは知らん。


「ですよね。で、そのころに危うく骨折しかけました」

「恐ろしいな」

「一瞬下で寝ることも考えましたが――なんかロフトの方が落ち着きまして」

「わかる。狭い空間なんだが。落ち着くよな」

「閉所恐怖症では私たちないですね」

「確かに」

「ってか、先輩。見ていいですか?」

「布団あるぞ?って――見ても面白くないというか」


 ちょっと俺的には恥ずかしんですけど――だったな。


「大丈夫です。問題ないです」


 だが胡乃葉はそう言うと、荷物を階段の一番下のところに置いてから階段を上がっていった。ホント遊園地ではないが。胡乃葉楽しんでいらっしゃる。

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