第52話 10月21日 金曜日3

 急に始まったココのカラオケの後に先輩に絡まれた話。そんな話を聞いた俺は、いろいろ考えつつも――結局。いつも通りの感じで話すしかできなかった。


「えっと――大変だな。ってか、大丈夫だったのか?」

「まあ、かなりしつこかったですが。他の人もまだ周りに居ましたし。私も結構頑張って断りましたから。予定があるから――と。まあ、それでも結構しつこくて――1時間だけとか。30分。最終的には5分でいいから。とか。はぁー。です。話しているだけで5分過ぎましたよ。ですね」


 話してガックリとなるココだった。その様子からして――かなり大変だったのだろう。ってか、5分でもいいからって――謎。どんだけ必死というか。ココ気に入られているのか?


「お疲れというか。ホントいろいろあって大変だな。すんなり終わらないというか――で、聞いていいのかだが――結局?」

「もちろん。逃走ですよ。さようならーです。私は忙しいんです」


 スッキリした表情でココがそう言い――そんな返事をしつつ「よかった」と思う俺だった。どうやら、もやもや?というのか。そのウザかった絡みに関して愚痴りたかったのは言えて、ココはスッキリといった感じだった。


 ――って、あれ?何で俺「よかった」と思ったんだ?ココが絡まれなかったから?あれ?絡まれたんだよな。だから――あー、連れて行かれなくてよかった?って、それは俺に関係あるのか?無いような――なんで今俺はココの話を聞いて「よかった」って思ったのだろうか?

 俺がちょっと自問自答していると、ココがこちらを見ていた。ちょっと顔を近づけつつ。


「先輩先輩」


 するとちょっと嬉しそうな表情をして話しかけてきた。


「うん?なんだ?ココ」

「ちょっとだけ。先輩——安心した顔しましたよね?」


 俺が返事をすると。ちょっとだけ意地悪そうな。初めて見る表情かもしれなかった。そんなちょっといたずらっ子?な一面を覗かせたような表情でここが言った。って、そんな顔もするんだな。


「——え?」


 って、ココがいたずらっ子ぽく何かを言ってきたが。えっと?ココは何を言っているんだ?俺が安心した顔?いやいやしてないだろ、何に対して今の会話で安心した――って、待て今俺は自分でも自問自答していたな。

 何でココの話を聞いて「よかった」と思ったのか。って、それって安心したという事か。あれ?マジでなんで俺はそんな事思って――って、顔にも出したんだ?ってか出たんだ?ココの事だぞ?俺の事じゃなくて。うん?


「先輩。私が話している時。はじめはちょっと心配そうな顔して……話し終えたときは、ホッとした感じでしたよ?結構先輩顔に出るんですね」


 何故か今度は嬉しそうなココ。


「そ、そんなことは無いはずなんだが――」


 答えつつも、心当たりが何故かありまくる俺だった。どうした俺?


「つまり先輩——結構私のこと気にしてくれてます?」

「……」


 ――おかしいな。ココの表情から今度は少しニヤニヤという文字が見える気がする。さらにちょっと嬉しそうにココが微笑んでいる。

 これは――お姉様のポジションというか。あれ?今日は俺の方が疲れているのだろうか?疲れているから余計な表情が出ている?っか、いじられているのか?

 なるほど、俺が疲れているから。そりゃ俺も疲れているわな。そうだよ。週末金曜日だし。今週も1週間大学頑張ったし。疲れが出たんだな。

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