第38話 9月23日 金曜日

 金曜日18時50分。俺はドーナツ屋にて待機中。が、まだ今日はココが来ていなかった。あれ?来るって言っていた気がするのだが。俺の聞き間違え?ちゃんとプレゼントまで探してきたんだが――あれ?という状況だった。


 現在の俺は来てから少しはお姉様にいじられていたが。今は店内がお客さんで埋まっているため特に絡んでくる様子はない。

 既に机の上のドーナツは完食。飲み物は半分となっている。ココと会うまでなら、これが普通。この後はのんびりスマホ見たり。たまに課題をしたりとして過ごすのだが。今日の目的はココにプレゼント。もらいすぎた分を返すだ。とにかく今日はココに用事があったので、なんか落ち着かなかった。これで来なかったら――なんだよ。

 でもお店の閉店まではまだまだ時間がある。それにココがどこから来ているかは知らないが。もしかしたらいつもより大学が押している。って、大学帰りに来ていたかもわからないか。バイト帰りとかいろいろあるからな。

 だから、何かが遅れていいれば、いつも通りの時間というのは無理だろう。それに俺だって旺駆里に捕まれば電車に乗れず遅くなることはあった。今日はスムーズに来ているから早い方なので、待つとなると長くなるのは、仕方がないことだ。


 そんなこんなでさらに数十分。


 ガチャ。


 ドアが開く音がすると、俺はふと振り返っていた。いや、今までならそんなことはないんだがな。でもやっぱり今日は気になった。ちなみに今日はこのパターンドアが開くと振り返るというのを既に3回ほどしている。そして今回は――。


「——」


 お店へと入って来た小柄な女性と目が合って、どちらともなく会釈。それから、お姉様がなんか言いたそうな表情で、ココと話しつつ注文を――そして、ココがこちらへとやって来た。


「こんばんは、ちょっと遅くなっちゃいました」

「いや、時間は言ってなかったし」

「でも先週なんか来てください的な感じで言ったのは私ですから――ちなみに言い訳をしますと。ちょっと大学でいろいろと――と、言いますか。あっ、この流れで言っておきますと。来週はちょっと難しいかと」

「早くも来週の話になったよ」


 来週の予約が来るとは思わなかった。予約というのも変な言い方かもだが……。とりあえず予約でいいか。


「あっ。いえ、その来週は仲のいい子と普通に夕食をってことで、今日は講義の後にちょっと話していて、それで日時調整とかしていたら大学出るのが遅くなっちゃって」

「なるほど」

「すみません」

「いや、ここに集合が強制とかではないんだが――」

「それはそうですが――先輩と話すのも楽しいですし」

「大した事話してない気が――って、あっ、ココ」

「はい?」

「忘れる前に、はい」

「えっ?なんですかこれ?」


 俺は机の上に置いていた紙袋をココの方に滑らす。


「この前お土産って言ってもらったけど――あれそこそこ値段するやつだろ?」

「えっ?」


 驚きつつもそっと中身を見るココ。


「大したものじゃホントないが――よかったら」

「えっ。いやいやいや、もらえませんよ。これこそ普通に有名なところですよ?」

「えっ?そうなの?」

「えっ?知らなかったんですか」


 知りません。ホントたまたま目に付いただけなので。お店の名前を見てもピンと来ていない男です。ココは何故か驚いているみたいだが――俺わかってません。すみません。ホント目について――いいじゃん。ってことで買いました。はい。前回のおさらいです。何言ってるのか俺。


「——マジで知らなくて買いました。というか。何を――で、悩んだ結果。たまたま目に付いたものに――だから、その使わないとかだった誰か友人とかに」

「いや、これこそ高いかと――」

「いや、いいよ。最近話し相手になってもらってるし」

「でも――」

「あっ。お返し禁止で」

 何となく、ココの頭の中に再度お返し――の言葉が浮かんだ気がしたので俺が先に言うと、ココの表情が不服、というのだろうか。ちょっと――という感じになった。


「えー、何でですか。これじゃあ絶対先輩の方が損してますよ」

「いや、夏休みで収入あったし」

「でも、ちなみにありがたく使わせてもらいます。あの――見ても良いですか?実は私ここの商品気になってて――ある意味先輩すごいです」

「マジか」

「マジです」

「どうぞ、期待はするな?」


 俺が言うとココは、丁寧に商品を袋から出す。

 ちなみに俺が買ったのは、ボディーミルク。ハンドクリームのギフトセットとかいうのかな。もしかしたらお試し?みたいなやつかもだが。

 ちょうどいいかな。ということで、今はまだ暑いが。そのうち涼しくなれば乾燥とかいろいろあるだろうし。いつもハムスターみたいにココは食べているから。その際に、綺麗な指が見えていたから、手入れもしているんだろうな。ってことで、こういうの気にしているのではないだろうか。などと言う考えがちょっとだけ俺の頭にあって、それが最後の最後で浮かんできてくれてな。もっと早くに出て来てくれよだったが。結果として、これになったんだからな。見つけたのは、本当に偶然だが。


「わっわっ、すごい。先輩。これ絶対高いですよね?」

「いや――他の商品からみたら安かったかと」


 ちなみに会計中に近くの商品見ていたら、高いのもあってビックリした俺だったりする。えっ?このサイズでこのお値段……こういうのはこれが相場なのか?俺全く知らない世界だったから、ちょっと支払いをしながら驚愕――って感じだったな。

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