第34話 9月16日 金曜日2

 ドーナツ屋へと入ると、すぐに知った声が聞こえてきた。


「——えっ?あー、ココ久しぶり――だな」


 ちょうど会計中のココが居たのだ。


「お久しぶりです。夏休み前――以来ですね」


 くるりとこちらに向きを変えて挨拶してくるココ。すると――。


「クク君よかったね。会いたがっていたココちゃんが今日は来てくれて」


 ココとちょっと挨拶をしていると。予想はしていたが。即絡んでくるお姉様だった。ココの後ろから背伸びでもしているのか。こちらを覗き込みつつ話しかけてきた。


「——え?先輩そうだったんですか?」


 そしてお姉様の言葉にちょっと驚くココ。いやいや、お姉様。俺が変な人に思われるから嘘を言うな。である。

 会いたがっていたとかいう嘘を勝手に言われると、ココが誤解して俺を変な人認定するかもしれないだろうが。ちなみに――今思い出すと、初めの絡み方が変な人だったかもしれないが――それは忘れようか。


「いや、ココ。俺は何も言ってないから」


 俺は即、ここに事実を伝える。


「——そうですか。ちょっと残念」


 あれ?何でちゃんと言ったらココが寂しそうな顔になるのか?俺――間違ったこと言った?いやいや事実をちゃんと伝えただけなのだが……。


「クク君。素直がいいよ?うん。ここは愛してるよー的な事言っておこうよ」

「他の人が居ないからと、自由すぎる気が――」


 ちなみにお店は今俺とココ。そして、お姉様だけ。そりゃお姉様自由にいろいろ言うわな。


「えっと――って、あ、あの、先輩。その今日は――」

「うん?」


 1人テンションの高い店員さんが居たが。ココが話しかけてきたので、俺はココの方を俺は見る。


「……その――お土産持ってきました」


 そう言いながら手に持っていた紙袋をちょっと持ち上げるココ。


「お土産?」

「はい。えっと――今だと邪魔になると思うので、とりあえず席で――」

「あ、ああ、わかった頼んだら行くよ」


 俺は返事をするとアイスティーとオールドドーナツを注文して席へと向かう。お姉様が何か言っていたのは――止まった。理由は俺の後ろに、他のお客さんが来たから。ナイスで他のお客さん。お姉様の残念そうな顔よ、って――いいのかそれでだが。


 俺が席へと着くと。すぐにココが紙袋を渡してきた。


「普通にお菓子ですが――よかったら食べてください」

「いや、えっと?何で俺お土産を?」

「やっぱり初めにドーナツとかもらいましたから。実家に夏休み中に帰っていたので、まあ私の実家の近くというか。こっちに戻って来る時に買ったもので――もしかすると知っている物かと思いますが――」

「マジで気にしなくてもよかったのに」

「い、いいんです。私が勝手にですから」

「なら――サンキュ」

「はい」


 チラッと中身を見てみると。確かにお菓子だった。観光地などで売っている感じのお菓子の箱が入っていた。って、そこそこ大きい。かなりの数入っているかも。マジでなんか気を使わせて悪いな。だった。


「あっ、先輩」

「うん?」


 俺がもらった物を見ていると、再度ココが話しかけてきた。


「えっと、試験なんですが――」

「試験?」

「はい。先輩に教えてもらったレポート全部単位ゲットです」


 そう言いながら笑顔になるココ。いや。一瞬ドキッとする感じの良い笑顔だった。かなりいい成績だったらしい。ちなみに俺も前期の結果はそこそこ普通にクリアしているからな。単位落とした!とかの騒ぎなく後期へだ。

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