第25話 7月15日 金曜日

 いろいろあった金曜日から数週間が経過した。

 今日はまた金曜日。今週も1週間あっという間だ。

 そして、金曜日と言えば、先月の謎な合コン?飲み会?に捕まって、ドーナツ屋では短時間しか楽しめなかったこともあったなー。と、思い出す。

 さらにその翌週などは、試験関係の事をしないといけなかったため。お店には来ていたが。テイクアウトのみとなりゆっくりは、なかなかできていなかったことも。

 でも、今週はやっと出来る。試験前ののんびりタイムだ。リラックス大切だからな。試験前でちょっとやらないといけないことが残っているが――金曜日の夜。試験期間1週間を頑張るためにドーナツ屋へである。

 

 俺は講義が終わるといつものようにJRの駅へと向かい。電車に乗り。そして桑名駅へとやってきて、ドーナツ屋へと向かっていた。

 

 大学が終わって少し。俺はいい香り求めてドーナツ屋へと入る。今日はお客さんが0人だった。静かな店内にお姉様だけが居た。

 そうそう人が居なくても店長は表に出てこないらしい。ホントどんな人がこの美味しいドーナツを作っているのだろうか?って、謎があるのもなんか面白いしいいか。


「あっ、いらっしゃい。君。今週は食べてくの?もう試験終わった?まだだっけ?」


 メニュー表を拭いていたお姉様が俺に気が付きいつものほほ笑み。相変わらず接客は完璧であ……うん?ちょっと待て?何かおかしかったぞ?今までは確か俺の呼び名は見たいな感じだったような。あれ?先週とかは――何と言われていた?覚えてないぞ……いや、でも常連君だったような――って、と呼ぶのは、だけのはず。お姉様には言ってないぞ?


「……えっ?」


 突然の事に俺はお姉様の顔を見る。一時停止だ。するとお姉様がニヤニヤとしながら……。


「あれ?女の子ナンパして。って名乗ったんじゃなかった?君?」


 ニヤニヤ?ニコニコ?とりあえず、いろいろありそうな顔で微笑むお姉様。この様子からすると――6月のあの日。見られていたようだ。いや、別にいいけどさ。っか、そういえば店の近くでココとは話していたからな。そりゃ閉店後だし片付けとかで、見るわな。見るな。って、なんで今なのだろうか?


「……」


 とりあえず、俺の頭の中では、そういやそんな過去もありました。ということで、整理が出来た俺は再度お姉様を見る。


「いや、あれはですね。ちょっと緊急の呼び名というか。あの時だけの呼び名で特に意味は――」

「——へぇーへぇー」

「うん?」


 何だろう。お姉様がニヤニヤしながら俺を見てくる。何か言いたそうだが――今はその時じゃないという感じというか。なんだこれ?なんか俺店員さんにいじられてないか?って――どうして今急にお姉様がククと俺の事を言い出したかだ。誰かに聞いた?いやいやそれは無いよな。


「まあいいや。で、君」

「いや、だから――」


 なぜ急にその呼び名になってしまったのか。


「あだ名は大切だよ。あっ、私は個人情報保護ってことでシークレット」

「——えっと……まあいいか。とりあえず、コーヒーとオールドドーナツを」


 お姉様は自分の情報は言わないらしい。ここは小さなお店なので定員の名前。名札などは無い。だから確認は不可である。

 っか、先ほども少し触れたが。ここの店長さんいつも後ろ厨房に居て、出てこないから声しか俺知らないんだよな。もしかしたらこのお店では店長さんが一番シークレットかもしれない。って、店長さんの事は今は関係ないか。おいておいて――だ。


「はーい。で、あれからナンパした女の子お持ち帰り?どうなの?進展あった?」

「——」


 本日ドーナツ屋に来て、とりあえずわかったこと。

 やべー変な店員に絡まれている。ってか、お姉様こういう話好きなのね。新たな一面を発見した。覚えておこう。お姉様にこういう話を知られると何かややこしいことになる。平和が無くなるとね。って、だから何故に数週間前の事を今掘り出してきたかなんだよな。もしかして。先週とかの俺本当に必死。忙しそうに見えたのだろうか?


「——お会計お願いします」


 とりあえず、このままではお姉様の前から動けないので、先に進めてもらう。が――。


「私の質問に答えてからでお願いしまーす」

「いろいろおかしい気がする」


 まさかのお客さんを詰まらせるという方法をお姉様取って来た。今は確かに俺しかいないから良いと思うが――いやいやダメだろ。


「今は常連のクク君しかいないからねー。クク君も今日はゆっくりしていってくれそうな雰囲気だし。で、あの日どうなった?」

「——何もないですし。駅まで一緒に行っただけですから。って何故今頃――」

「そんなこと言って――実は?あんなことやーこんなことを?」

「あのですね。事実です。何もありません。駅まで行って別れました」

「面白くないなー。でもまあいいかー。いつもの席でお待ちくださーい」

「……はい」


 ――あれ?『いつもの席でお待ちください?』いつもそんなことをお姉様は言っていたっけ?などと思いつつお会計終了後。俺はドーナツを持ってカウンターの席へって、やっぱ変だよな。このお店は席の指定はしていなかったような――。

 でも、俺はここしか向かう予定無かったからいいが……うーん?今日は何か引っかかるな?俺がドーナツを眺めつつそんなことを考えていると、足音が後ろからして来て。その後横から飲み物登場とともに。


「で、実際は?」


 などと言いながら何故か俺の隣に座りだしたお姉様をそっと押し返しましたとさ。


 本当は『店長さん!サボっているお姉様が居ますがー』という方法も考えたが。俺がそっと押し返す素振りを見せたらニコニコとお姉様は撤収していったので、この時は使わなかった。

 そんなこんなで、やっとのことで、俺は毎週金曜日の平和を取り戻し――と思った時だった。


 ガチャ。

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