第26話 7月15日 金曜日2

 お姉様となんやかんやしている間に、他のお客さんがやって来たらしく。後ろでドアが開く音がした。1人の時間は早々と終了らしい。

 って、お店のためにはお客さん来ないとだよな。いつも0人じゃお店的にはダメだよな。このお店ネット販売とかそういうのはない様子だ。いかにお客さんがお店に来るかだと思うから。このお店消えたら――俺泣く。ってか。ショックで引きこもるわ。ここ以上のドーナツそう簡単にはあえないだろうし。前なら全国にあるチェーン店で『美味い!』だったが。このお店をの味を知ってしまうとね。

 いや、今でももちろんあそこ。全国チェーンのお店のドーナツも美味しい。食べることもある。だけど――やっぱここのドーナツ知ってしまったからな。ここを超えるのは――である。


「おっ、来た来たー」


 俺がいろいろ思いつつ。とりあえず飲み物を飲んでいると、後ろからはお姉様の楽しそうな声が聞こえてきていた。

 あれ?珍しいな。もしかしてお姉様の知り合いでも来た?などと俺が後ろから聞こえてくる声を聞きながら――って、本当は他人の会話など聞く気はなかったが。お店が静かで聞こえてくるのでね。仕方ない。そんなことを思いつつ飲み物を置いて、ドーナツを食べる。


 超どうでもいい事だが。今日の気分はかぶりつくではなく。一口サイズにちぎって食べるスタイルの俺だった。ホントどうでもいい事だな。


 そして食べれば――『うめぇー』である。やっぱ最高だよ、ここのドーナツ。いつもの味。店長さんサンキュー。来週も来ます!多分来週は2個くらい食うかも試験疲れで。


 カタン。


「——うん?」


 俺がドーナツを味わっていると、俺の席の横に、俺が食べているのと同じオールドドーナツが乗ったトレーが置かれた『何で俺の横?テーブル席空いてるじゃん』と俺が思いつつ隣を見ると――知っている顔がそこにはあった。

 ちょっと恥ずかしそうに、でもニコニコしている小柄な女性と目が合った。


「……?」

「こ、こんばんはさん」


 隣に立っていたのは、ココだった。先月ここで会った小柄な女性だ。まさかのまた会った。何で?


「隣――良いですか?」

「えっ――ああいいけど……」


 俺が返事をするとココが椅子に座る。そして荷物を足元のカゴに入れた。ちょっと重そうなカバンからチラッと見えているのは――ノートや本。テキストだろうか?勉強の帰り?塾かな?いや、俺と似たような感じだな。俺もノートや分厚いテキストをカバンに入れている。その雰囲気に似ている気がする。もしかしてココも大学生なのか?などと俺がちょっと思っていると。隣でもじもじと動く手が目についた。そして見ると――目は合ったが。


「——」

「——」


 無言が続いた。えっと、状況整理をした方がいいかな?

 あれ?今は何が起きているのだろうか?これは……先月の再現?いやいや、えっ?どうなってるんだ?などと俺は思いつつ。

 って、もう1つ。気になることが俺にはあった。近寄っては来ないが。なんか変な視線を後ろから感じる。これは――気のせいととりあえず思っておこうか。お姉様を見たら俺の負けな気がする。絶対負けだ。見なくてもわかる。なんかお姉様知っていたな。って、仕組んだ?仕組んだよね?今日のお姉様のなんか引っかかるような行動、言葉。これじゃないのか?


「えっと――ククさん?」


 俺がいろいろな可能性を考えていると、ココが話しかけてきた。


「あー、うん。何?」

「あの、これ……」


 するとなぜか1000円札がスッと俺の前に滑って来た――って、はい?何で?何故にここでお金のやり取りが発生するのだろうか?誰か説明を。


「えっ?えっと――ココ。これは何?」


 さすがに急なことに俺の頭は混乱。何でココにいきなり俺は1000円渡されるのだろうか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る