第20話 6月のある金曜日8
隣の席でお腹を鳴らしていた小柄な女性にドーナツと飲み物を与えた俺。
って、マジで何をしているのだろうか?怪しい人になってないか?幸い周りの人は俺達のやり取りには気が付いていない感じだからまだいいが。
なんかいろいろやらかした感があるが。でも、美味しいものを広めれたから良しと思うべきか。そんなことを思いつつそれから俺もドーナツを半分くらい味わった頃だった。
「あ、あの――すみません。分けていただいて……」
俺が気が付くと隣の小柄な女性ドーナツ完食だった。早いな。いや、早いよ。俺まだ半分あるんだが――。
「マジでお腹空いていたのか」
俺の口からは――そんな声が漏れていた。いや、それしか出ないというかさ。ホントすぐに完食したから――そんな感想しか出なかったんだよ。
「——あっ、えっと……その――ほ、ホントは飲み物だけで――飲んだら帰るつもりだったんですが――」
するともじもじと指をしながら小柄な女性がつぶやいた。視線は――ずっと通知が来ているスマホを見ていた。
「……帰れない訳は――その通知?」
俺はずっと気になっていた彼女のスマホ。机の上にあるスマホを指差した。
「——あっ」
すると小柄な女性は見られてることに気が付いていなかったのか。ちょっと慌ててスマホを手に取った。
「見ようとした訳ではないが見えちゃったのは謝る。って――まあ何かは知らないが。行きたくない誘いには行かなくていいんじゃないか?」
「——えっ?」
「例えば――」
俺はそう言いながら自分のスマホを出す。多分だがそろそろ旺駆里がバカみたいにいなくなった。とっとと帰ったことに関して何か言ってきている気がしてな。そんなことを思いつつスマホの画面を付けると――ほらビンゴだ。
「俺も似たような状況だし」
こちらは内容はわからないが。通知のポップがアホほど来ている。そんなホーム画面を俺は小柄な女性に見せる。すると、ちょうど見せた瞬間にも通知が数件来た。多分同じ奴だな。旺駆里こういう時送りまくってくるからな。言葉というより。スタンプで連続というのがほとんどだが。本当は旺駆里の連絡先は消したいが。消したら消したで、さらにうるさい感じだからな一応残している。
「えっと――すごくたくさん来てますけど――」
俺のスマホを見つつ小柄な女性が少し驚きながら?と言った感想を言っている。
「これは無視でOK」
「——ホント――すごい件数ですよ?また来てますよ?」
「——うん?」
何故か予想以上に小柄な女性が俺のスマホを見ていたので、自分でも再度スマホの画面を見てみると。
「……どんだけ送って来てるんだよ。あの馬鹿」
未だに新着通知が来ていた。このスピードは――やはりスタンプを連続で送ってきていると見た。連打のように通知ポップが来ていた。俺――何を知らない人に見せているのか。
「……まあ、うん。こういうことだ」
「す、すごいですね。そちらも……」
「まあな、まあ俺は行きたくないというか。行くのは言って脱走してきたんだがな。脱走したらこのざまだな」
呆れながら俺はそんなことを言いスマホを閉じた。
「——えっと、私は――誘られたんですが。どうしても大人数での食事は――って感じで。数人ならまだいいかな――だったんですが。今日は結構居る見たいな感じだったので……」
「でもここまで来た?」
「えっと――考えていたら集合場所のお店の最寄り駅まで来ていて、でもやっぱり行けなくて。ちょっとうろうろしていたら。ここのお店を見つけまして、入って飲み物だけ飲んだら帰ろうと思ったら。その――通知がたくさん来て、これでもし駅とかで会っちゃったらー。とか思ったら動けなくなったのと。さらに少し前からは、なんか移動する?みたいな感じのをチラッと見ちゃって、それこそもし会っちゃったら――で、動けなくなってました」
もじもじという感じで小柄な女性は話してくれた。ってか。なんか俺の予想が当たっていた気がするのは……たまたまだな。たまたまだ。ってか、普通に俺なんかのいきなり飲み物とドーナツ与えてくる奴に話したよだった。
すると……。
「すみませーん。そろそろ閉店でーす」
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