第16話 6月のある金曜日4
合コンなのか。単なる食事会なのか。結局わからなかったが――まあ食事のち。俺は1人でお店を出たので、その後どこかへ誘われるとかそんなことは絶対ないので、大人しくとっとと自分の家に帰る……だったが。この近く。桑名駅近くには最近の俺の行きつけの店がある。それに今日は金曜日だ。本来はそちらに行く予定だったのに、旺駆里に捕まったから行けなかった。
俺は駅へと向かいつつもチラッとスマホで時間を確認する。まだ行きつけのお店は開いている。
「——口直しかね」
俺はそうつぶやきつつ。歩く向きを変えた。駅へと向かっている人がそこそこ居る中。俺はちょっと逆走ではないが。人の流れとは違う方に歩き出した。
いつもよりはかなり遅くなったが。やっぱり金曜日は幸せ求めいつものお店に行くことにしたのだった。
行き先はもちろん。俺が大学1年のときに見つけたドーナツ屋だ。
結構ドーナツ屋の近くに居たので、思い立ってからすぐに俺はドーナツ屋に到着していた。いつもより遅めの21時を過ぎたころにだがな。『俺の幸せの時間が旺駆里によって削られた……』などと思いつつ少しでもいいから幸せ求めお店への中へと向かう。
すると、と、いつもの席に先客の姿があった。そりゃ予約席じゃないからな。先客があることもあるか。ホント旺駆里に捕まったから、予定が狂ってしまった。って、その場所にこの時間人が居るのか――と、ちょっと驚きだったがな。
ちなみに俺の指定席ではないが。勝手に指定席と言っている場所。壁際には1人の小柄な女性が座っていた。多分この時間に居るので、高校生――だとギリギリアウト?いや、まだセーフぁ?詳しくないからそれは知らないが。でも制服とかではないから――普通に小柄な女性でいいかな。ってか、チラッと見ただけだが。壁際に居る女性なぜか困ったように?いや、固まっている?後姿が――なんとも言えない感じに俺には見えた。って、俺には関係ないな。
とりあえず俺は注文のためお姉様のところへと向かう。
お姉様は。トレイを拭きつつもお店に入って来た俺には、ちゃんと気が付いていたみたいで、俺がレジに近寄るとすぐに話しかけてきた。
「いらっしゃい。今日は来ないのかと思ったよ。常連君」
お姉様は今日も綺麗――って余計な事を思っていると。いろいろ言われる可能性もあるのでいつも通り。余計なことは言わず――って、俺はちゃんと金曜日の客と認知されている。さすがにほとんど毎週同じ時間に来て閉店まで居るからな。自己紹介的な事はしたことないから常連君。といつの間にか俺は呼ばれていた。
「いや、今日はちょっと強制参加的な事に巻き込まれまして――」
商品を選びつつ。俺はあははーと、言う感じで返事をする。
「ありゃ。そりゃ大変だね。じゃ甘いものでもどうぞ」
そう言いながらお姉様は、俺の前にさりげなく新商品の案内を見せてくるが。俺が悩んでいたのは飲み物だけだ。コーヒーか紅茶か。いつも気分で頼んでいるが今は香りで癒しを求めるか。コーヒーで目を覚ます。いろいろリセットするか。などと、考えていただけだ。
「えっと、どうしようかな――紅茶に……」
いつもはオールドドーナツだが。今日は無駄に疲れたし。たまにはお姉様の進めてきた新作を買ってみても……いややっぱり。こういう時だからこそ。いつもの味が欲しいか。って、俺オールドドーナツしか食ってない気がするが。
あっ、あと――今日はゆっくりする時間が短いから――明日用に1つ追加だな。家で食べよう。決まりだ、
「……あと、オールドドーナツ2つで、1つは持ち帰り用で良いですか?」
「はーい。1つ持ち帰りですね」
その後、1つはいつも通りお皿に、もう1つは小さな紙袋に入れたドーナツを俺は受け取り、初めてテーブル席に向かう――って待て待て!ここで俺気が付いたが……。
席が空いてない。先ほど壁際が空いてなかったことで驚き。そちらばかり見ていたが。よくよく店内を見てみると今日はテーブル席も埋まっていた。もちろん1人で座っている人もいるが――テーブル席は向かい合う形になるので。相席は――なんかおかしい。つまり自然と俺が行くのは――2席のうち1席が埋まっているカウンター席となる。カウンター席は別に向かい合うことはなく。単に隣同士になるだけだからな。特に変なことはないだろう。って、お姉様もカウンター席が1つ空いているから何も言わなかったのか……仕方ない。俺はトレイを持ちつつ。小柄な女性の横に向かう。
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