海よりも意味深
- ★★★ Excellent!!!
日々、「作業」として卑俗な行為が行われている場所で、主人公の二人は極めて古風な手段でプラトニックな愛の遣り取りを重ね、そのコントラストが切なすぎるスリリングを醸し出している。
更に筆者は、女性の生い立ちから性、ではなく生、と死の苦悩に斬り込み私の心持ちを加速度的に惹きつけていった。掃き捨てられていく性の営みと、か細いながらも必死に繋ぎ合う生の問題、言葉を交わすどころか顔も見ずに遣り取りは続くが、だからこそ心の深いところから掘り起こされてくる一片一片の言葉の意味は深かった。
一目だけでも合わせてあげてはと期待をするも、それも浅はかな望みだったのか…