第48話:戦勝祝い
「勝利を祝って、乾杯」
「「「「「乾杯」」」」」
城の大広間に集まった面々が満面の笑みで喜んでいる。
その喜びは一点の曇りもない、晴れ渡った青空のような喜びだ。
破顔一笑と表現すればいいのだろうか、間違っているのかな。
前世で小学校の途中だった俺は、表現力が微妙なのだ。
セバスチャンから色々と教わっているが、それでも完璧ではない。
セバスチャン自身が前世と今生の知識と常識が混じっていると言っている。
「正直驚きました、イーライ大公公子殿下。
あれだけの数の魔獣を従魔にされておられるなど、想像もしていませんでした。
しかもその従魔が全て上位種だと言うのですから、実際に見ていなければ信じられない事でございます」
子爵が興奮冷めやらぬという表情と態度で話しかけてくる。
俺には当たり前の事だし、子供たちも護衛騎士も驚かないのだが、大公城に帰って城の従魔を従えた時の家臣たちの表情を思い出せば、凄い事なのだろうな。
だがもう王家の軍を追い払ってから半日は過ぎているのだ。
朝追い払って、戦勝祝いの準備をしている間に夕方になってしまった。
もういい加減平静を取り戻してくれてもいい頃だと思うのだが。
「日頃から公爵家の嫡男に相応しい魔力を得ようと努力していました。
今は大公の嫡男に相応しい魔力を得ようとこれまで以上努力しております。
神々がその努力を認めてくれたのでしょう。
日々魔力が増えておりますので、あれくらいの事は軽くできます」
強大な魔狼と魔象に迫られた王家の軍は、戦うことなく逃げて行った。
いや、逃げて行ったというよりは、潰走したと言った方がいいだろう。
セバスチャンが教えてくれた『算を乱して壊走する』と言う表現通りだった。
戦う事もなく負けを認めて、死にたくない一心で、秩序など全くなく、散り散りに逃げていったが、あのまま全員が王都に逃げたのだろう。
護るべき家族がいない者は、そのまま王都に戻らなかったかもしれない。
「なんと、あれだけの事を簡単と言われるのか。
我らの魔力とは比べものにならない膨大な魔力量なのでしょうな」
子爵は素直に称賛の驚きをあげてくれるだけだが、それでも重たいのだが、問題は夫人と令嬢たちだった。
夫人の目配せと同時に、令嬢たちが一斉に側に集まってきた。
俺はまだ幼児でしかないのに、明らかに色目を使ってくる。
俺を誘惑して大公夫人の座を手に入れようと言うのだろう。
俺はこういう事には疎い方だったが、セバスチャンが色々と教えてくれたのだ。
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