第10話:断罪
俺たちの目の前に礼をとった家臣たちが沢山いる。
だがその礼が形だけのモノであることは、家臣たちの目を見れば分かる。
彼らが佞臣や君側の奸と罵るセバスチャンだけならともかく、父上や母上にまで憎しみの目を向けているのだから、彼らが言っている事は嘘なのだろう。
セバスチャンを排除して力を失った父上と母上も害するつもりだ。
俺を心から愛してくれている父上と母上を害そうとする者は絶対に許さない。
「この度の謀叛の件、絶対に許すわけにはいかぬ。
特に我が愛しいイーライを偽物と言い張って、殺そうとした事は許し難い」
「お待ちくださいませ、公爵閣下。
我が息子も家臣もそのような事をするような男ではありません。
これも公爵閣下を騙して、公爵家の家政を私利私欲で独占しているセバスチャンの悪巧み、嘘偽りでございます、どうか騙されないでいただきたい。
この件に関しましては、王家もとても関心を寄せられておりますから」
「お前は、私が、セバスチャンに騙され操られるような愚者だと言うのだな。
そして、公爵家の家政に王家が口出しできる前例を作れと言っているのだな」
珍しい事に、父上が本気で怒っておられる。
自分を馬鹿だと言われた事も腹が立つようだが、心から信用信頼しているセバスチャンを佞臣と言われた事が、なによりも腹が立つのだろう。
それに、どの貴族家でも王家が家政に口出しする事を嫌っているのに、家臣のくせに王家に尻尾を振って、主家を売って利益を得ようとするのが腹立たしいのだろう。
まあ、その貴族や家臣の常識は、全部セバスチャンに教わった事だけどな。
「いえ、いえ、公爵閣下が愚かなのではなく、セバスチャンが狡猾すぎるのです。
王家が家政に口を出すと申されますが、我が家は王家の分家ではありませんか。
王家が分家の事を心配するのは、肉親の情として当然の事でござます」
本当に口の上手い奴だが、その口も王家という後ろ盾があるから回るのだろうな。
王家に見捨てられたらどのような反応をするのだろう。
セバスチャンに王家とこいつらの関係を断つ方法を聞いてみようか。
俺の魔力でどうにかなる事なら、協力は惜しまないのだが。
「おい、自白した連中を連行しろ」
普段は家臣相手でも優しい言葉遣いの父上がもの凄く苛立った口調になっている。
父上をここまで怒らせるような家臣なんていらない。
人間相手に暴力は振るわないと誓ったけれど、ここは誓いを破るべきかな。
それとも前回のように全員眠らせて、後はセバスチャンに任せようか。
「全て私がやりました、イーライだと分かっていて捕らえようとしました。
父上の命じられた通り、イーライを薬物漬けにして傀儡にする予定でした。
オードリーが大人になったら俺の子を産ませて、公爵家を乗っ取る心算でした」
「嘘でございます、セバスチャンが違法な魔術で偽りを言わせているのです。
王家の、王家の調査を受け入れていただきたい。
そうすれば、セバスチャンの悪事が証明されます」
亡くなられた祖父に不正を見つけられ、強制隠居させられたくせに、その事を棚に上げて勝手な事を言っている。
お前の息子や家臣は、俺が正規の自白魔術をかけて白状させたのだ。
王家が調べようと覆ることはないが、王家は違法な魔術を使えば別だ。
こいつらの言っている事を考えれば、王家は絶対に正しい裁きをしないだろうな。
それにしても、俺を薬漬けにする事を考えていたのか。
俺の事はまだいいが、妹に子供を産ませて公爵家を乗っ取るだと、もう許さん!
誓いを破ってぶち殺してやる、と直ぐにでも攻撃魔術を放ちたいが、誓い以前に、俺に人間を攻撃する事ができるのだろうか。
「イーライ様、全員眠らせてくださりさえすれば、全てわたくしがいたします。
イーライ様の手を汚させるような事はりませんから、ご安心ください」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます