第9話:奴隷売買
俺が助けた子供は七つくらいだと思う。
いや、もしかしたら、貧しくて成長が遅れているのかもしれない。
八つか九つと言う事もあり得るだろう。
それにしても、公爵家は祖父の代にセバスチャンを登用して豊かになったはず。
これほど貧しそうな子供が公爵領にいるとは思えないのだ。
まあ、いい、そんな事は後でセバスチャンに聞けばいい。
「うわあああああん、おかあさんが、おかあさんが、おかあさんが」
女の子が突然泣き出したが、安心してくれたのかな。
不安で、哀しくて、誰にも助けを求められない時に、救いの手を差し伸べてもらったら、張り詰めていた心が崩れる事がある。
自分自身の経験で知っている事だが、この後に救われなかった絶望するからな。
ここは何があっても助けてあげないといけない。
だが、これほど号泣している女の子に話を聞くのは無理だな。
「セバスチャン、これはどういうことなのだ」
「公爵家といえども有力家臣の内政には口出しできません。
公爵家では奴隷制度を廃止しましたが、国は未だに奴隷制度のままです。
王家と繋がっている家臣は、それを盾に公爵家の方針に抵抗しております。
いえ、公爵家の方針に逆らうために、王家につながった者もいるのです」
あまりの腹立たしさにムカムカしてきた。
父上と母上が、いや、祖父の代から公爵家が取り組んできた重要政策を、私利私欲のために従わないばかりか、主君を裏切って王家につながるだと。
絶対に許せない、父上と母上は俺が護ると決めたのだ。
恐らくだが、日本の事を知っているセバスチャンが勧めた政策なのだろう。
俺には何の役にも立たなかったが、助かっていた人も多かったのだろう。
「どうすればいい、どうすればこの子たちを救える。
父上や母上が努力されている事の手助けをできる」
「ご心配に入りませんよ、今回の叛乱を契機に、公爵閣下の害になる家臣はすべて処分いたしますから、ご安心されてください。
ただ、そのわずかな間に死傷する可哀想な者いるかもしれません。
そのような者を助けたいとイーライ様が思われるのでしたら、今から奴隷に扱いが厳しい家臣の領地を巡りましょう」
「そうか、分かった、今直ぐその家臣の領地に行く、案内してくれ」
俺は念動魔術を使ってセバスチャンと少女を浮かせて連れて行った。
セバスチャンにはぶちのめす相手のいる場所に案内してもらわなければいけない。
少女は一人残して行くわけにはいかない、絶対に。
救いに手だと思っていたモノが、自分を置き去りにしていく絶望感を味合わせる訳にはいかないのだ、あの時の俺のように。
「さあ、買ってくれ、いい女だぞ、とびっきりの上玉だ。
子供を一人生んでいるが、未だに若々しくてベッドの中でのいい声を出す。
抱いてもいい声でなくが、痛めつけてもいい反応をする。
なんなら目の前でこの女の子供を痛めつけて、女の反応を愉しむ事もできるぞ」
俺の前が真っ赤になるくらい腹が立った。
母や母の愛人のような、暴力を振るう人間にはならないと誓ったのに。
今直ぐこの場でぶち殺してやりたいと思ってしまう。
その衝動を抑えるのに精神力の全てを使ってしまっている。
「おかあさん!」
やはりこの少女の母親だったのか。
大切な者を護りたいと思って覚えた力だ、今ここで使っても許される。
問題はやりたいと思ってもできるかどうかだが、ここは何としてやらなければ。
この子も母親も俺が助ける。
「イーライ様、全てわたくしにお任せください。
城の時のように、全員眠らせてくださればいいのです」
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