第11話:幽閉
俺はセバスチャンの指示通り反逆者全員を強制的に眠らせた。
そして反逆者全員に自白魔術をかけて全てを白状させた。
その内容は、王家に仕える重臣がこいつら謀叛を唆すという事だった。
父上はすぐさま王家にこの事実を伝書魔術を使って苦情を入れられた。
いや、王家だけではなく全貴族に伝書魔術を飛ばされた。
更には領内の全家臣に通達され、場合によって王国を離脱すると伝えられた。
一方俺が捕らえた多くの家臣たちは、公爵家の居城にある地下牢に幽閉された。
その地下牢はただの牢ではなく、魔力持ち専用の特殊な牢だそうだ。
入牢させた犯罪者の魔力を奪う仕掛けがあると言う。
犯罪者から奪った魔力は公爵領の護りや領地を豊かにするのに使われる。
叛乱を企てたのだから、当然の処罰だと思うのだが、その数があまりに多いので、居住環境は最悪だと言う事だ。
「イーライ様、ここで捕らえた者たちは公爵閣下に謁見が許される身分の者だけで、陪臣共はまだこの者たちの領地に残っております。
それを放置しておきますと、この者たちを財貨を盗んで逃げだすかもしれません。
その財貨の中には、奴隷にされたいた領民もおります。
助けたいと思われるのでしたら、この者たちの領地に行かねばなりません。
どうなされますか、イーライ様」
俺が捕らえられた者の処分内容を聞いた後で、セバスチャンが教えてくれた。
そんな言い方をしなくても、助けに行けとはっきり言えばいいのに。
そう思いながらセバスチャンの目を見たが、その目はとても真剣だった。
セバスチャンは俺の性根を確かめているのだ。
俺に選択を与えたら、領民を見捨てる判断をするかどうかを。
正直チョット傷つく、俺の事を信用してくれていないのだろうか。
「そんな言い方をしなくても、不幸な人たちを見捨てたりしないよ。
セバスチャンは俺の事を信用してくれていないのかい」
「試すような事をして申し訳ございません、イーライ様。
人とはとても弱い生き物なのでございます。
貧しく力を持っていない頃は理想に燃えていても、力を持ち豊かになると、つい自分を甘えさせてしまう者なのでございます。
俺はとても努力したのだから、少々の事は許させる、と思ってしまう者なのです。
わたくしは、前世でもこの世界でも、そのような者をたくさん見てきました」
セバスチャンにそう言われてしまうと、俺は何も言えなくなってしまった。
母も母の愛人も、親や祖父の力を使って好き勝手していた。
新聞社やテレビ局の連中も、自分たちは特別な存在だと思っていた。
それは教師や公務員も同じだった。
だが彼らも子供の頃から小汚い人間だったわけではないだろう。
権力や地位を手に入れてから変わったのだと思う。
「もういいよ、セバスチャン、言いたいことは分かったから。
その代わり約束して欲しいんだ、俺が小汚い人間になりそうになった、絶対に止めるとね」
「お約束させていただきます、イーライ様。
前世でもこの世界でも、イーライ様と私には血の繋がりはありません。
ですがこの世界では、養育係という親に近い役割を与えていただきました。
わたくしは勝手ながらイーライ様を我が子のように思わせていただいています。
必ず、この命に懸けても、必ずお止めさせていただきます」
涙が流れてしまって、止めることができなかった。
この世界では、父上と母上だけでなく、セバスチャンという親代わりまで手に入れることができたんだと思うと、思わず泣いてしまった。
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