第24話

「総員来てくれてありがとう。

 おそらくこれから行う戦いは我々が経験してきたことの中でも上位に当たる難易度だ、それを把握した上で一つ言わせてくれ。

 誰もヴァルハラに行くことは許さない。

 ではまず先程帰投したガイザー部隊の索敵によって得られた情報の報告を」

「了解しました。

 現在我々のもとに進行してきている連邦部隊の規模は一大隊であることが判明しました」

 その言葉とともに大きな机が画面のように画像を出力した。

「この船は既存の量産タイプの戦艦のカスタムモデルであると考えられます。バンクーのデータによるとこのモデルは銀翼賞の贈呈者にのみ配備することが許されているエース級用船だとゆうことが判明しました」

 そういい喋っていたやつは報告を終了しますとぼそっといってマイクをおろし舞台のようなからおりた。

 やつの報告が何を意味するかは周りにいるやつも十分理解しているのだろう。

 否、コイツラのほうが俺よりも重く受け入れているのだろう。

 なんせ銀翼賞を受賞される人間の大半は撃墜王、言い換えれば仲間を大量に殺した殺し屋。

 コイツラの視点からは銀翼賞はそう見るしかないのだ、そう見ざる負えないのだ。

「では整備長報告を」

「了解した。

 まず最初に先刻の敵の先行攻撃部隊の残骸を回収しあることが判明いたしました。

 それは完全に新規の最新鋭機を連邦は本戦線に最新鋭の試作機を投入してくるとゆうことです。

 否、もうすでに投入されました」

 そう言いながらまた出力する画像を変えてきた。

 出てきた画像に映し出されたものはおそらく船なのだろうがとてもそれが断言できない、なんせ見た目がラグビーのような見た目をしているからだ。

「こちらのものは敵艦隊の最後尾に参加してきているものです。

 こちらの船は現在我々のもてる情報網を使用しても判明しませんでした。

 逆に言えばこれが連邦の最新鋭であることの証明なのです」

 そう言いながら彼もまた立っていおる場所をおりた。

 降りてすぐ俺の周りにいるやつが声を上げた。

「本部は・・・、本部は俺達に何を求めてるんだ。

 立場的に言っちゃああ行けねえかもしれねえが、こんな戦場に部下を連れてはいけねえぞ」

 興奮気味に憤慨してそういった。

 それに同調するように周りの奴らも似たようなことを、ああだこうだ言い出した。

「そういえば、本部からの増援があると聞いていたのだがここにいるメンバーはほぼほぼ全員見慣れたメンツだぜ。

 まさかあそこに突っ立てる青臭い野郎が増援だったりはしねえだろうなぁ」

 そう言ってきたおっさんは俺の方に指を指してきた。

「残念だが彼は本部の増援ではない。

 本部からの増援は先程、到着こそはしている。

 しかし彼らの目的はあくまで非戦闘員を保護し別の基地に輸送することだと」

「なんだそりゃあ、俺達だけでこの数の敵を落とせとでも言いたいのか」

 一矢報いさせてプロパガンダにでも使うつもりだったのだろう。

 たったこれだけの少数でもこれだけの部隊を倒せるんだ、とでもいって全面戦争でもする予定なのだろう。

 そこまで行かなくとも見捨てるまでは確定だろうな。

「本部からの命令はない・・・・だから各員の意見を尊重したい。

 今から逃げても構わない、援軍とともに護衛にまわっても構わない、今まで朽ちていった仲間たちのかたきを討とうとしても構わない。

 己と部下を納得させられることをしてくれ、だが死ぬな」

 そのまま部屋を出ていってしまった。

 周りにいる艦長(だと思われる人)たちがざわめいている。

 俺は慌てて、男が出てった扉をくぐりこの部屋から出た。

 するとすぐに頭と拳を壁に押し当てているやつがいた、そいつは間違えなく先ほど前で喋っていた男だった。

「ああ君か、なんだか済まないな。

 捕虜にされたり襲われたり」

 かすれたような声しか聞こえない、この土地の終わりはちかいのか。

「きみは若そうだが宇宙大戦を知っているかい。

 その目からして知っているのか、済まないが少し昔話を話さないか」

「宇宙大戦となると確か今から40年前に開戦したのだっけ」

「ああ、もうそんなにたったのか。

 ちょうど開戦した頃俺はお前さんくらいのガキだったな」

「あんたは参戦していたのか」

「いいや、あの頃は今以上に無力だった。

 コロニー独立とゆうより、劣等感で連邦に合戦を仕掛けたそれを知るのに三年ほどかかるほどには」

 確か教科書によれば反逆したコロニーは破壊されたはず。

 そしてそのさい初めてff粒子の多様な使い方を提示した事案だったはず。

「俺が今この組織に属してるのは、その頃色々失ってしまったそれだけなんだよ。

 同士なんて言葉、部下なんて言葉は知りたくなかったよ」

「一体あんたは」

 男は俺の頭に手を優しくのせてきた。

「俺は直感でわかるお前は苦しむ。

 例えば一度間違えたことをできるまで繰り返すそれをすればお前自身の身が苦しむだからするなよ」

 そのまま男は俺の頭を少しさすって離れていった。

「総員、接敵予測時間まで九時間を切りました、持ち場についてください」

 俺も急いでドッグに向かった。

「補給の方は済んでるな」

「イツデモ可能デス」

「司令部に通信つないでくれ。

 こちらスピード1、発艦許可をくれ。

 安心ただ、ガイザー部隊の援軍に向かう」

「発艦認可並ニビドッグノコントロール権限ノ譲渡ヲ確認シマシタ」

「発艦許可確認、スピード1出る。

 総員発艦、ヨーソロー」

 船は碇をはずされゆっくりとだが確実にまっすぐ前進していった。

「こちら司令部、スピード1。

 健闘を祈る」

「現地ノ地図ト暗号通信ノコードノ輸送ヲ確認シマシタ」

「ガイザー部隊と通信をつないでくれ」

「・・・・・・・・・こちらガイザー隊、スピード1どうぞ」

「こちらスピード1、敵部隊の配置と観測機の配置データをいただきたいのですが」

「了解した」

「輸送ヲ確認」

「譲渡感謝する」

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