第16話

 どうやら認可が降りたらしく俺はこのモービルとともにジャンク船のもとに帰ることができた。

「いやはや本当にこれは素晴らしい」

 情緒不安定のDrと呼ばれる整備長が感極まれリとでも言いたげにこわばった声を放った。

「なあ、支援AIも使えるんだよな」

「ああもちろんだとも」

 そう言いながらDrと呼ばれる整備長は手を叩いた。

 コックピットの方につながっている扉から丸っこい支援AIを3っつ手に持って男が歩いてきた。

 自走能力なんかをもたせたりするための丸いデザインが予想以上に、手で持ち運ぼうとするときに邪魔になることを気づいた瞬間だった。

 なにはともあれこれである程度の作業ができる、この俺の目の前にある品を最低限稼働させるには十分なほど。

 そうこれこそがDrΦから手に入れた光学形成機などを俺がアレヤコレヤの手を用いて改造して作った、超をつけていい程のの完成でを誇る品なのだ。

 もし名前をつけるならABCビルダーってとこかな(笑)。

 こいつは全長3m、7m、15mの合計3つのユニットからなっている。

 それぞれ長方形、円柱形、正方形となっている。

 それぞれが重要な価値を持つ、三位一体のスーパーマシーンなのだあ。

 っとあまりの美しさに我を失いかけていた。

 少なくとも目の前にある電源のついていないモニターの反射で俺の顔が気持ち悪すぎる状態になっているのは確認できる。

 我ながら動やったら目がそんな角度に行くんだヤク中よりひどいぞこれ。

「では始めてくださいませ」

「了解だよ、さてお前らプロット通り行くぞ。

 問題があり次第規定の手順通り頼むぞ」

「「「了解」」」3機の機械的だがどこかやる気に満ちた声が聞こえた。

「Bユニットにモービル輸送開始、Cユニット起動」

 俺はそんな指示を飛ばす傍らオファに遠距離で手伝うよう指示を飛ばした。

 といってもメイン業務はデータの収集だが。

「Cユニット想定通リノ起動及ビ稼働ヲ確認。

 初期起動データノ記録ヲ開始シマス。

 想定外必須物資ノ演算ヲ開始シマス」

「Cユニット物質輸送開始シマス。

 コレガ終了次第追加物資ノ輸送ニ取リ掛カリマス。

 予測終了時間1ミニッツアフター」

「Bユニットエノ輸送終了。

 コレヨリローカル接続、同期開始シマス」

「同期ノ開始ヲ確認。

 ライブラリーヨリ一致率90%超エノ機体ヲ確認。

 共有シマス」

「「共有ヲ確認」」


「なんてこった、こんなに自動化が進んでるなんて」

「ええ、完全自動化なんて宇宙にろくに出れなかった、古臭い人類が想像していた夢物語だと思ってましたよ。

 もうここまでできるようになってたんですね」

「これは大量のプログラムを極限まで圧縮し、必要なデータを極限まで減らした努力の賜物だよ。

 それにエラーが出ないように、そして例え起きても即座に直せるようにアルゴリズムも相当なものを生み出したと見える。

 少なくとも敵に回したくはないな」

「「ですね」」

「それにしてもこいつは本当に天才だな、連邦の最先端研究所なんかよりもこの古びた船の格納庫は高い技術を有している」

 Drと呼ばれる整備長とついてきた二人の男はそんなあまりにも味気ない話をしていた。

 そんな感想しか抱こうとしないような奴らに絶賛されようが何されようがなんとも思えない。

 俺から言わせて貰えばコイツラなんてチューリングテストは受からないだろうし、多少コードを書き換えても大したことができるようにはならないだろうし。

 控えめに言って汎用性が皆無の試作品といったところだ。

 本音を言ってしまえば気休め程度のサポートと頭数を揃えるためにおいてるだけだ。

(まあ、頭数が必要な状況なんて無限にあるから頭数揃えるためってだけでも十分すぎるほどの価値があるんだが)

 それにオファは…..

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