第15話

 かくしてまずはコックピットから正確に状態を確認していこうと思う。

 といってもこれと言って大変なことをするわけではない、ただコックピットに入って少し正面のパネルを物理的に開くだけだ。

(壊さないように気おつけないと)

 慎重に手袋を使って逆算的正しい手順でパーツを外していった。

「ん………まじかあ。

 いやさっきの調査結果でなんとなく想像はできてたよ、覚悟してたよだからって。

 なぁ。」

 予想の1倍でも、予測するのと実際に見るのは精神的衝撃が強すぎる。

 どうやら現在でも通用する共通規格を採用している機体だったため欲しいパーツを外して代わりにそれに対応したいらないパーツを突っ込んで無理矢理形だけを維持させられていたようだ。

 こんなものを実践配備できるようにするとなるとそれ相応の設備が欲しいのだが。

「なに、君の母艦で整備をさせてほしいと。

 それは流石になあ」

「どうしたんですが」

「ああ整備長、彼が自分の設備で整備をしたいと言いまして」

「いいんじゃないですか、こんなにすごい人の作業をお目にかかれるとはお有りがたい限りですよお」

「ですが彼は….」

「では私とあと二人くらいで作業を監視するとしましょう。

 それなら君も文句ないだろ、では船長に申請してきます。

 ちょっと待って下さいねえ」

「相変わらず、あの人は」

 これはこの組織の、少なくともこの船には不穏分子がいることがわかった。

 ぜひとも強く生きていただきたい、おれがたまたま声かけた少し偉そうな整備員の人。

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