第12話 メイ

「今日こそ、僕の素晴らしさをその身で知れ」

「面倒なやつだ」

 リクが右手にカンサのカードを持つ。街中で。ミズチが応じた。

「いでよ。僕のカンサ・メイ!」

「カンサ・フェブ!」

 イマジン空間が広がっていく。紫色で包まれた。カンサと、カンサ使いをのぞいて。

 呼び出されたカンサは、鎧姿。ガシャリと音を立てた。

 カンサ使いは、カンサに指示を出して戦っているのだ。

 金属音とともに、街が破壊されていく。

「罪悪感はないのか」

「元に戻るのに? 何を言っている」

 多少常識的なリクと、非常識なミズチ。会話しながら戦う。二人は平行線。

 戦闘が長引いたため、マモノが現れた。水もないのに、エビのような見た目をしている。

 そこへ、ネネとアラタもやってきた。

「わたしたちで争ってる場合じゃないのに」

「そうだな。まずはマモノを」

 カードを構える二人。同じことを考えているようで、実際は違う。ソウオンへの対処と、戦いそのものをめること。ふたつは相容あいいれない。

「カンサ・マーチ!」

「カンサ・ジャニュ!」

 ネネのカンサ・マーチが弓矢でけん制して、アラタのカンサ・ジャニュが剣でダメージを狙う。

 しかし、エビのような姿のマモノは手強い。さらに、カンサが増えたことでマモノの強さが増してしまう。

「カンサが多ければ多いほど、マモノが強くなるのよ」

「なんだって。まずいじゃないか!」

 初めて知る事実に、アラタは焦っていた。マモノを必死で狙うも、攻撃をかわされてしまう。

 あくまでマモノを無視して戦うリク。

 ミズチは手をゆるめない。

「華麗な技を受けてみよ。ラストアーツ!」

「させるか!」

 そこへ、エビのようなマモノの一撃が決まる。うしろへ下がりながらの素早い攻撃だった。

「しまっ」

 致命傷を受けるカンサ・メイ。リクも倒れた。

 カードが消失し、千年原せんねんばらリクはバトルロイヤルを脱落した。

 光となり、カンサのうち一体が消えていく。どこか美しさを覚える光だ。

「ようやく、一人か」

「先は長いわね」

 なんのことやらさっぱり。相変わらず、何も知らないアラタが聞く。

「長い?」

「ああ。バトルロイヤルの参加者は、十二人だ」

 つまり、バトルロイヤルの参加者は、現時点で残り十一人。

 悠長ゆうちょうに話している場合ではなかった。エビのようなマモノが襲いかかってきたのだ。

「どうする?」

「こうする」

 弓矢を的確に当てていくマーチ。

「いまだ!」

「お、おう」

 ミズチの判断に、アラタが同意した。叫ぶ言葉は決まっていた。

「ラストアーツ!」

「ラストアーツ!」

 唐竹割からたけわりと横一文字斬りがほぼ同時にヒットした。それでも、まだマモノは倒れない。

「ラストアーツ!」

 とどめのピアシングアローがマモノをつらぬいた。爆発が起こる。それは、どこか悲しい色だった。

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