第11話 千年原リク
「ラストアーツ!」
女性のカンサ・マーチが特別な大技を使う。ピアシングアローがマモノをとらえ、撃退した。
爆発が起こる。
それを、遠くからリクが見ていた。獲物を選ぶような目で。
「この
イマジン空間でも色が変わっていないリクは、振り返って歩いていく。
別の日。
何かを言いながら戦っているのは、胸の大きな女性。
「私の願いは、世界平和だから。倒されなさい!」
「うさんくさいやつだ!」
黒い服の男性は、自分の考えを口に出していた。相手にしていない。
縦に振られたフェブの剣によって、建物がまっぷたつになる。そこで、リクが出番を待っていた。
「僕は
リクは、姿が紫になっていない。
「カンサ使い」
ネネの言葉へかぶせ気味に、リクが口を開く。右手にカードを持って。
「いくぞ。僕のカンサ・メイ!」
そこへ、黒髪の男性が到着した。カードを右手に持ち、全身に力を入れてポーズをとる。
「カンサ・ジャニュ!」
フェブとマーチ、メイとジャニュがそれぞれ戦いになる。
カンサ・メイは女性のような姿をしている。もちろん鎧姿。武器はレイピア。
雄々しいジャニュが、サイのようなマモノを狙った。そこを、メイが見逃すはずもない。攻撃がヒットした。
「いてぇ」
カンサへのダメージは、カンサ使いにも痛みとして伝わる。男性は、初めてそれを知ったようだ。
「素直に負けを認めろ!」
「お前、誰なんだよ!」
激しい戦いが起こっているため、周りの建物が壊れていく。それを、男性が気にしていた。
またしても隙がある。リクにはそう見えた。喜び勇んで攻撃するも、逆にカウンターをくらってしまう。
横一閃。ジャニュの剣がメイをとらえた。
「ぐっ」
ぐらついたところを容赦なく攻める、男性。ジャニュの攻撃。メイはあと一歩まで追い詰められた。
「くっ。お前、名前は」
「アラタ。
「
また別の日。
金属音がひびく。
いつものように、公園の辺りは紫色。色に染まっていないものはよっつあった。
「フェブ!」
「負けるな、メイ!」
リクと戦うのは、黒い服の男性。痛みが連動しているため、直接戦っていない二人も、少し
「マーチ! シュート」
矢が飛んできた。それを切り払うメイ。
ネネの横やりが入り、勝負はお預けになった。
「次こそは、ケリをつけましょう」
リクが去っていく。と思わせて、陰に隠れていた。三人の動向を探るために。
「あたしは、
「オレは、
「わたしは、
「せっかくだから、四人でどこか行こうよ」
自己紹介をしなかったアラタのほかに、一人カンサ使いではないものが混じった。そんなことはリクにはどうでもいい。さらにあとをつける。
遊園地で、リクが仕掛ける。
「いけ。僕のカンサ・メイ!」
イマジン空間が開かれ、辺りが紫色で染まっていく。
「ど、どうする」
焦るアラタ。対照的に、ミズチは流れるような動きでカンサを召喚する。
「カンサ・フェブ!」
「わたしも。カンサ・マーチ!」
ガシャガシャと鎧が音を鳴らす。ライバルのはずなのに、二人は息ぴったりだ。
「何? 流行ってるの? 監査」
イマジン空間もカンサも、紫色に染まったコハルには見えていない。
「そうじゃないけど、おれも。カンサ・ジャニュ!」
色が失われたかのような世界で、カンサ使いとカンサだけがカラフルな色を振りまいていた。
「なに? そのカード」
カードだけが見えている様子のコハル。ひきつった笑いを見せながら、ミズチが返す。
「気にするな」
一般人に見守られながら戦う、四人。
「やりづらいぜ」
「右に同じ!」
わずかに生じた隙を、リクは見逃さなかった。それだけの集中力がある。
「ここだ!」
「きゃっ」
ピンチになるネネが、何かをしようとしてやめた。まるで奥の手を隠しているかのように。
そこへ、マモノが現れた。ダチョウのような見た目の。
マモノが現れた時点では、やることは決まっていなかった。だが、位置関係から計算して、ここで反撃はない。リクが叫ぶ。
「僕のカンサはすべてを追い越す! くらえ! ラストアーツ!」
特殊な大技である乱れ突きを使い、リクがダチョウのようなマモノを倒した。
爆発するマモノ。跡形もなく消し飛んだ。
「うおっと」
アラタが爆発に驚く。とうぜん、コハルにはなにがなんだか分からない。
「なにやってんの? 教えてよー」
「興がそがれた」
リクは去っていく。一般人がいるのでは、やはりやりづらい。
さらに別の日。
ネネが呼び出し、リクたちが集まった。
「やる事はひとつだ」
「もちろん」
カードを取り出し、戦おうとするミズチとリクを制して、ネネが話し始める。
「
「なんでだ?」
すっとんきょうな声を上げて、アラタが聞いた。さっぱり何も分かっていない様子。
「
「そんなに強いのか?」
「……」
黙ってうなずくネネ。
「僕には関係のない話だ。失礼する」
「待てよ。お前の願いはなんだ」
アラタの問いに、リクが答える。
「
敬われていない者に、深入りする道理はない。リクは帰っていく。
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