第58話 奏太の計画
お店に奏太がニヤニヤしながらやって来た。何だろう?不思議になる。
「匠真、俺学校が終わったから映像の会社を作ろうと思うんだ、勿論協力してくれるだろう?」
「いいけど…………何を協力すればいいんだ?」
「映像の会社を作っても直ぐに仕事は来ない、だからYouTubeをやろうと思うんだ」
「ふ〜ん………それで?」
「だから…………凛ちゃんと匠真で、カップルユーチューバーになってくれよ、撮影と編集は俺がやるから」
「え〜!!いやだよ、俺は人前に出るのは好きじゃない」
「そうかもしれないけど、プリンちゃんファンは、またやって欲しいって要望が強いぜ」
「そうなのか?」
「これを見てみろよ」奏太はSNSでプリンファンが書き込んでるメッセージを見せた。
「本当だ…………」
「なあ凛、沢山復帰の要望が来てるけど、知ってたのか?」
「うん、沢山メールも来るけど………」
「そうか…………………」
「匠真、プリンちゃんを独り占めしてそれでいいと思ってるのか?沢山のプリンファンの気持ちを考えたことがある?」勝ち誇ったような顔をした。
「しかし………お店は忙しいし………………」
そこへ母さんがニコニコしながらやって来た。
「いいじゃない、プリンちゃんファンが望むなら、私がお店のフォローするわよ。週二日はお店を休んでいいからその間に撮影したらいいんじゃない?」
「え〜、母さんまでそんな事を言うの」
「だって凛ちゃんをお店に縛りつけたら、ファンに申し訳ないわ」微笑んで凛を見ている。
「じゃあ週に一日だけ撮影させてくれよ、後の編集やアップは全て俺がやるからさ」奏太は頷いた。
「奏太くん、凛ちゃんが幸せになるような映像にしてね」母さんは奏太に釘を刺した。
「勿論です!」奏太は自信ありげに頷いた。
結局またYouTubeを始める事になった。しかも今度は俺も出る事になってしまう。
お店をやる事で頭が一杯なのに、さらにYouTubeまでやるのかと思うと一気に気分が重くなる。
凛を見ると、ニコニコしている。凛は嫌じゃなさそうだ、俺はやるしか無いのかと諦める。
夜になって凛の部屋で改めて聞いてみた。
「そんなに復帰の要望が来てるのか?」
「うん、お世話になったキャンピングカーの社長さんもまた始めて欲しいし、イベントにも来て欲しいんだって、それにYouTubeの時お世話になった事務所も機会があれば是非復帰して欲しいらしいの。ファンからも『幸せそうなプリンちゃんを見たいです』って、沢山メールが来てる」凛は少し申し訳なさそうに言った。
「そうなんだ、ごめんよ凛、俺はお店のことばかり考えてちっとも凛の状況を考えてなかったよ」
「ううん、だってお店は大変だもの、私もしっかりやってく自信はまだないし………」少し俯く。
「そうだなあ……………みんなのプリンちゃんを独り占めするのはファンに失礼かもしれないなあ………」
「でも…………俺が出るのは……………」俺は眉を細めた。
「私だけ復帰したら、また変な憶測が飛び交うと思うの、だから二人が良いなあ」凛はニッコリ俺を見ている。
「そうか…………そうかも知れないなあ………………」俺は思い腰を上げる決心をした。
お店に一瀬さんと希和ちゃんがやって来た。希和ちゃんがコスプレイベントに出たらしい。頑張ったご褒美という事でお店を訪ねてくれたようだ。唐揚げ親子丼を二人で食べてくれた。凛と希和ちゃんは人気が出るにはどうしたら良いかと話していた。俺は一瀬さんへカップル系ユーチューバーのアドバイスを受けている。
そこへ奏太がやって来た。奏太は希和ちゃんのコスプレ画像を見て固まった。友希さんと希和ちゃんが帰った後ポツリと漏らした。
「希和ちゃん凄いねえ…………キナコちゃんは人気が出るかもね……………」
「希和ちゃんも輝ける場所が見つかって良かったわ」凛が微笑んだ。
「そうだねえ……人気が出るなんてほんの一握りの人たちだよねえ…………その中に凛もいたんだなあ……」
「そうだぜ、だからプリンちゃんを独り占めするなんて罪深いだろう?」奏太は唇を噛んだ。
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