第57話  修行 

4ヶ月程になるとプリンファンも落ち着いてきた。

厨房で父さんが話しかけてくる。


「匠真、お店が落ち着いて来たら新しいアルバイトの子達は必要なくなるだろう?」


「そうだね、もう大丈夫かもしれないなあ」


「じゃあ、もう来なくていいよって言えるか?やっと皆んな仕事を覚えて良いチームワークになって来たのに」


「そうだね、もう来なくていいよとは言い辛いなあ」


「だろう……だから父さんは伊豆に行こうと思ってるのさ」優しそうに微笑んだ。


「そうなんだ……………」俺は頷いた。


「皆んなの意見を聞きながらお店をやってくのはそれなりに大変だ、だからお前の修行になる」


「そんな事を考えてたんだ」


「修行するなら早い方がいいだろう?」


「そうだね…………俺も気合を入れて仕事に取り組まなくちゃあ」


「何あったら直ぐに駆けつける、だから安心して挑戦したらいいさ」


「分かった、俺なりに頑張って見るよ」


「それでこそ俺の息子だ」父さんは笑った。



お店が終わると俺はつまみを作る。そして家族でワインを飲んだ。


「凛、俺はこのお店をやってみる事にしようと思うんだ、一緒にやってくれるかい?」


「はい、私は匠真さんにどこまでもついていきます」微笑んだ。


「凛ちゃん、有難うね」父さんは嬉しそうにワインを飲んだ。


「有難う凛ちゃん、私はパパが心配だから伊豆へついていくけど、何かあったら直ぐに凛ちゃんのところへ駆けつけるわよ、だから安心してね」ニッコリ微笑んだ。


「はい、何かあったら直ぐに連絡します」凛は嬉しそうに頷く。


「それに匠真と喧嘩したら迷わず伊豆にきてね」母さんは笑っている。


「はい、そうします」凛も嬉しそうに頷いた。


「何だよそれ………………ありがたいけど…………」


両親は少しずつ引越しの準備を始めた。俺はカフェのスタッフシフトなどを考えている。

凛は母さんからいろんな事を教えてもらっている、どうやら日頃のお金の管理なども聞いているようだ。


夜凛の部屋へ戻って来た。凛はノートを見ながらブツブツ言っている。


「どうしたんだ?」


「うん、仕入れの金額とか原価計算とか色々大変なんだね」眉を寄せている。


「そうか、母さんから引き継ぎを受けてるんだな」


「うん…………こんな事ならもっと勉強しておけばよかった」唇を尖らせた。


「これから少しずつやってけばいいさ、分からなかったら俺も手伝うし」


「うん、不安だからお願いね」凛は上目遣いで見ながらゆっくり頷いた。


お店を切り盛りするとなると、これまでと違った感覚が出てくる。お客さんの表情で満足してるかなど気になるようになっている。また返却されたお皿に食べ物が残っていると、味は大丈夫だったんだろうか?など気になった。飲食店の難しさを改めて感じている。

しかし、その分張り合いも出てきている。心の中で喜ばれるいい店にしたいと改めて思い、生き甲斐を感じ始めている。

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