第42話 autum
「さて、時間だし今日はこれで終了するか」そう言ってカウンター横のスイッチを切った。
木彫りの『Kafe autum』の看板に光を当てていた照明が消える。
店が終わるとパソコンを立ち上げ、最近の日課になっているユーチューブを見た。
「あなた、また見てるの?」
「だって気になるだろう……匠真の事が……」
「あら、プリンちゃんが気になってるんじゃないの」真由美は笑っている。
「随分視聴回数が増えてるよ」
「そうなの」真由美も画面を覗き込んだ。
画面には人形を見つめているプリンちゃんが映し出された。
「不思議ねえ、化粧は少しづつ薄くなってるのに、可愛さは増してきてるわ、恋の力かしらねえ」
「匠真と上手くいってるのかなあ」
「どうかしらねえ…………」
「これ…………」真由美に匠真から来たメールを見せる。
「無事かってメールを送ったら、こんなメールが帰ってきた」
『日々色んな人と出会い、分かったのは自分の世間知らずな事でした、そしてどれだけ自分が大切にされていたのか身に染みています。もうしばらく世間を見てから帰ります、母さんにもよろしくと伝えてください』
「あら、随分成長したのねえ…………やっぱりプリンちゃんはいい子なんだわ」
「そうかもしれないねえ」
「どうやらこの子を連れて帰ってくるかもしれないわねえ」
「そうだなあ…………」
「そういえばこの前、玲奈ちゃんのお母さんに会ったのよ、最近は玲奈ちゃんが反抗的だって困ってたわ」
「そうか…………前に商店会の集まりに行った帰り道で玲奈ちゃんを見かけたんだが、あまりいい感じのしない子達と遊んでたんだよ」
「そうなの……」
「だから、匠真の部屋に遊びに来た時、何か有っては良くないと思って紅茶やケーキを差し入れしたんだよね」
「まあ……そんな事してたの?お節介ねえ」
「そりゃあ大切な息子だからねえ」
「呆れた…………」真由美はクスッと笑った。
「匠真が居ないとやっぱり忙しいなあ」
「そうねえ、あれで結構考えて働いてくれてたからね」
「裏のマンションやアパートの掃除や管理も余裕がないよ」
「アルバイトの子を増やす?」
「そうだなあ…………」どうしたものかと考えた。
「そうだ!奥の駐車場の後ろの花壇が綺麗じゃないから工事してもいいかな」
「いいわよ、好きにして」
「それに五階501の高木さんが結婚して出て行ったからリフォームしてもいいかなあ」
「いいけど、あんまり奇抜な内装にしないでよ」
「分かってるって」
「さて明日も忙しいぞ、匠真早く帰って来ないかなあ」
「行かせたのはあなたでしょうに?」
「だよね…………」
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