第43話 実況中継

高知へ移動するとひろめ市場へ到着した。

色んな美味しそうなものがひしめき合っている屋台村だ。

リンは目移りが激しくて、何を食べるか決まらないでいると、藁を燃やす炎が勢い良く上がる。

それを見たリンは「やっぱり藁焼き塩たたきだよね」そう言って注文した。

これからまだ移動があるのでお酒は飲めない、とりあえずノンアルコールビールで乾杯し屋台を楽しむ。


その後四万十川へ車を走らせた。川沿いの国道をドライブして日本最後の清流と景色を楽しんだ。

その夜は近くの温泉に泊まることにしている。

撮影ができる貸し切り風呂があるので、リンは人形と一緒にお風呂へ入るのだ。

やはりお風呂のシーンがあると、急激に視聴回数が増える。

オレは大切なリンを見せ物しているような気がして、心がシクシクした。

しかし、今のオレにはどうする事も出来ないのだ。

リンは人形を相手に楽しそうにお風呂に入っている。そんなリンを見ていると目頭が熱くなった。


翌日愛媛へと向う。

松山城を見た。天守閣からの眺めは爽快だ。

お昼は鯛めしを食べる、リンはまた「ホクホク……うま……」と独自の食レポを展開した。


明るいうちにしまなみ海道を走りたくて今治へ向うことにする。

町中は何処へ行っても割と似ている、ガソリンスタンドやコンビニ、車のメーカーやファミレスなど、見慣れた物が多い。

田舎道も田んぼや畑、山や川などだが、似ているが同じ景色はない。

目の前に開け、スーッと後ろへ流れて行く景色は、そこに住む人達の日々の営みを感じさせてくれる。


左側に大きなスクリューのオブジェが見えた、間もなくしまなみ海道に入る事を道路標識が教えてくれる。

リンと運転を交代して車内カメラなどを固定した。

これからしまなみ海道を渡り切るまでリンが実況中継をする。

オレは後ろの席で、車窓から外を眺めた。

大きな造船所が見えてしまなみ海道へ突入した、尾道まで55キロメートルあるようだ。リンはテンションを上げて楽しそうに運転している。

インターチェンジを入ると長く白い橋になった。


「キター!海、綺麗、橋が長いねえ」リンは景色をチラッと横目で見ながらアクセルを踏んだ。


「大島に入りましたー!!トンネルですう……山道♪坂道♪イケイケ進めー♪」鼻歌を歌いながら軽快に進んでいく。


「大三島橋を抜けましたー……大三島に突入でーす……行くぞ行くぞ何処までもー♪」オリジナルソングは尽きない。


「多々羅大橋を通過しましたー!……海と島が開放的で美しいですう…………あっ!!ついに広島県へ入りましたー」


「生口島でーす……因島へ入りましたー!!……道路は続く〜よ♪どーこまでもー♪」


「ついに向島でーす!!やっと尾道へつきましたー!!」


道の駅へたどり着くと、リンは「疲れたー!!」そう言って車を降りる。

道の駅からは瀬戸の絶景が見えた。


「タクちゃん、お腹すいたー!!」リンの一言で夕食となった。


道の駅でタコ天丼を食べる。

疲れたのでお風呂を探し、入るとまた道の駅へ戻ってきた。

二人とも疲れていたので、そのまま寝てしまった。

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