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「高耶は? なんか飲みたいのがあって買ったんじゃないの?」
「いや、とくに。なんでもいいぞ」
やはり、自分から選ぶつもりは全くなさそうだ。なのでスポーツドリンクを取る。そして、甘い炭酸飲料が残る。これからたくさん歩くと言うのに、なぜ炭酸飲料を買ったのか、理解し難い。
「あれ、じゃ、これもらうぞ。本当にいいのか?」
「ああ、これから歩くし、スポーツドリンクの方が良いんだ」
まさか、炭酸で高耶が喜ぶとは思わず、しかし、結果的にみんなが飲みたいものを飲めたんじゃないかと思いながら、スポーツドリンクを飲む。一口だけ飲むつもりだったが想像以上に喉が渇いてたらしい。
三分の一を飲んでしまった。
高耶は立ったままだ。そのままペットボトルに口をつけた。俺と同じくらいの量を飲んでいる。
「なあ、今も見えてるのか? 星」
ベンチに座り高耶を見上げながら聞いてみる。しかし、本当は聞くまでもなかった。明るいブラウンの虹彩がなにかを追うように動いているからだ。
「勿論だろ」
高耶は階段の上を眺めている。強い風が吹いて、灰色の暗雲の流れが早くなった。
「よし、行くか。また疲れたら言ってくれ」
その風が向かう先に高耶の視線が動いている。たぶん、星が流れていったのだろう。
「りょーかい」
紫乃さんが立ち上がり、軽く体をひねった。俺も立ち上がって体を伸ばし、ほぼ同時に歩き出した高耶と紫乃さんに着いて行く。
「二人とも、飲み物は俺が持つぞ」
高耶がリュックをお腹側に持ち替え、俺と紫乃さんの飲みものをしまった。そして、背中に背負い直す。そうしているうちに階段に着く。小さな公園には誰一人いない。
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