第54話 入浴

 うん。全然駄目だった。なんの抑止効果も無かった。これじゃ愛で繰り回す衝動が抑えられないよ? よし、水着にしよう。これなら健全だ!


 白い肌に紺のワンピース……完璧だね。所謂スクール水着というものだ。これ以上健全な物は無いだろう。しかし、素晴らしい……いつまでだって見ていられるね。


「リーベスお姉ちゃん?」


 自分のことをじっと見ている私に、小首を傾げながら声を掛けるエンケリンちゃん。


「……はっ! あ、え、えっと、は、入る前に洗浄掛けるから目をつむっててね?」


 あまりの愛らしさに見とれていたが、エンケリンちゃんの声に何とか戻ってきて、湯槽に入る前にエンケリンちゃんと自分を丸洗いする。


 よし、これで綺麗になったね。それじゃ入ろうか……ってお湯入ってないじゃん!

 ……いい感じなお湯ゴー。うん、オッケー。


「ふわぁ!」


 エンケリンちゃんが見る見るうちに湯槽に溜まって行くお湯に、目をまん丸にして声を上げる。うん、可愛いね。


「じゃあ入ろうか? エンケリンちゃん」


「うん!」


 エンケリンちゃんが転ばないようにお手手繋いで一緒に入浴。


「あ゛~」

「ん゛ん゛ー」


 ……おほん。ああ、やっぱりいいね。この熱めのお湯にかる感覚は……って!?


「エンケリンちゃん!? 熱い!?」


 気持ち良くなってる自分の横でエンケリンちゃんが真っ赤になってぷるぷるしてた!?


「……うん」


「わー! ごめんね! 直ぐぬるくするからね!」


 急いでお湯の温度を下げる私。……こんなものかな?


「どう? エンケリンちゃん? 熱くない?」


「うん! もうあつくないよ!」


 そう言って私に笑顔を向けてくれるエンケリンちゃん! 私が悪いのに!

 ぬぉぉ! 何て事だ! エンケリンちゃんに辛い思いをさせてしまったよ!


「ごめんね? エンケリンちゃん。熱かったらちゃんと熱いって言って良いんだからね? エンケリンちゃんに我慢なんかさせたく無いからね?」


「うん。でも、リーベスお姉ちゃんが気持ち良さそうだったから……」


 うおおー! なんて良い子なんだ! 思わず抱き締めて撫で繰り回したくなったけど、今はちょっと不味いので、頭なでなでだけにしときました。


「えへへ」


 目を閉じて嬉しそうに私の手を受け入れるエンケリンちゃん。超可愛い。


「エンケリンちゃんの優しさは嬉しいけど……でもやっぱりエンケリンちゃんにも気持ち良く入ってもらいたいからね。そういうのは言ってほしいな? 何だったらお風呂の温度を2つに分けることだって出来るからね?」


「リーベスお姉ちゃん、そんなこともできるの?」


 驚きと疑問を混ぜた様な表情で言うエンケリンちゃん。これまた可愛い。


 まぁ、やったことはないけど、恐らく出来るでしょう。


「うん。出来るよ」


「すごーい」


 うへへ。エンケリンちゃんに尊敬の眼差しで見られるのは堪らないね!


 その後はしばらくゆったりとお湯に浸かる。


 ただ、エンケリンちゃんが足を伸ばして丁度良い深さにしてるので、私にはちょっと浅い。


 だから私は半分寝っ転がった感じで湯槽の縁に頭を掛けて肩まで浸かってる。


「ふい~」


 やっぱりお風呂は良いね。ちょっと温くなったけどそれでも十分気持ちいい。


「ふひぃ~」


 私がそうやってお風呂を堪能していると、


「……リーベスお姉ちゃん、なんかぼーとしてきたかも……」


「へ?」


 エンケリンちゃん声にそちらを見ると――!?


「うわぁ!? エンケリンちゃん!?」


 そこにはお顔を真っ赤にしてぼんやりした目をしているエンケリンちゃんが居た!?


 急いでエンケリンちゃんを湯槽から出す。


 うわぁ。完全にのぼせちゃってるよね!? ええと、どうすれば良いんだ!? 体の中に熱がこもってるんだっけ!? だったら冷やせば良いのかな!?


 いきなり冷風とか掛けたら逆に風邪ひきそうだよね!? 取り敢えずは送風から……。


 エンケリンちゃんを洗い場に寝かせて、扇風機の静音設定位の風を出す。


「すずしい~」


 お水も飲ませた方が良いよね?


「エンケリンちゃんお水飲んで?」


 私はエンケリンちゃんの上半身を起こして、魔法で精製したお水を飲ませる。


「んく、んく……ぷはー。おいしい」


 再びエンケリンちゃんを寝かせる、その際に私の服を枕代わりにする。

 脇の下にはエンケリンちゃんの服を適度に冷やして挟む。


 最後に私の手を冷やしてエンケリンちゃんのおでこを冷やす。


「ひゃっ、冷たくて気持ちいい」


 うんうん。これで少しは良くなると良いな。


 ……はて、これは熱中症の対応だっただろうか? まぁエンケリンちゃんが気持ち良さそうにしてるからいいでしょう。

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