第47話 市場へ

 馬車に荷物を置いた後、即行で洗浄で薬の痕跡を消した。


 それでもまだ距離をとるエンケリンちゃん……ううう(泣き)。


「エンケリンちゃん? ほら、ちゃんと洗浄したから大丈夫だよ?」


 私がそう言うと、恐る恐る近付いて私をくんくんするエンケリンちゃん……やばい、可愛すぎるんですけど!?


 一通り確認が終わったのか、顔を上げてにかっ、と笑ってお手手を繋いでくれるエンケリンちゃん。


 ふおぉ、今のはやば過ぎた、危うく理性が翔んでいく所だった!

 目を閉じて深呼吸……すぅーはぁーすぅーはぁー……ふぅー……。


「ごめんなさい。リーベスお姉ちゃん……」


 私が心を落ち着けていると、エンケリンちゃんが悲し気な声音で謝罪を口にする。


「ううん。良いんだよ、苦手なものは苦手なんだから、これからもそういうときは我慢しないでちゃんと教えてね?」


 私は努めて優しくエンケリンちゃんにそう言った。エンケリンちゃんに我慢なんてして欲しくないからね。


「うん!」


 私の言葉にエンケリンちゃんは笑顔で元気にお返事してくれた。うんうん、エンケリンちゃんは笑顔が一番。





 それから気を取り直して市場に移動した。


 また馬車に乗って行くよりこのまま歩いて行った方が早いので徒歩で向かう。


 その途中で、


「大分いい時間になったのう。今日の昼餉ひるげはこのまま屋台で済ませようかのう」


 そうオーパ爺が言った。


「わーい!」


 エンケリンちゃんが喜ぶ。


 屋台か……異世界の屋台と言えば肉串、……やばいそれ以外が思い付かない……流石にそれ以外もあった筈だけど、出て来ない。


「今の時間ならそこまで混んでおらんじゃろう」


 成る程、ということは今は昼過ぎなのかな?


 そして、エンケリンちゃんがそわそわしてる! 何が良いかな~って考えてそうな顔をしてる! これまた可愛いね~。


「エンケリンちゃんは何が食べたいの?」


 これは聞いちゃうよね?


「えっとね、えっとね、う~ん、お肉!」


 うんうん。元気可愛いね。そうか、お肉かぁ。


「エンケリンはあれが好きじゃのう」


「好きー!」


 オーパ爺の言葉に元気に答えるエンケリンちゃん。


「あれって言うのは?」


 エンケリンちゃんの好きは知っておかなければでしょ!


「んむ? あぁ、そうじゃな。所謂肉串じゃな」


 ど定番来ました!


「へぇー、エンケリンちゃんがこんなになるほどなの?」


 エンケリンちゃんはさっきからうっきうきになってる。


「そうじゃな。お前さんの口に合うかは分からんがなかなかのもんじゃな」


「へぇー」


 エンケリンちゃんの様子とオーパ爺がそこまで言うと、期待しちゃうね。


 そうして歩いていると、喧騒といい香りが漂ってきた。


「リーベスお姉ちゃん! 早く行こう!」


 そう言ってエンケリンちゃんが私の手をぐいぐい引っ張る。テンションあげあげだね。


「ちょ、ちょっと待ってエンケリンちゃん。オーパ爺?」


 どうすんの? と目で訴えかけるも、


「場所は分かっとるから、先に行っておれ」


 と、暢気のんきに返された。


「早くね!」


 エンケリンちゃんに引っ張って行かれながらも、なんとかそれだけはオーパ爺に伝える。


 ずんずんと進んで行くエンケリンちゃん。


「エンケリンちゃん、そんなに急いだら危ないよ?」


 そう言ってみたものの、最早肉串しか頭に無いのか、返事も無く進んで行く。


 大分道に人も増えてきた、そんな中をすいすいと進んで行くエンケリンちゃん。凄い、全く速度を落とすこと無く人混みを抜けて行く。


 いや、でもね? エンケリンちゃん? 私はそうは行かないんだよ?


 それでもエンケリンちゃんに置いて行かれる訳には行かないので、必死に付いていく。

 エンケリンちゃんは小さいゆえに抜けて行けるが、私はいくら小柄だと言ってもサイズが違う。

 当然、人にぶつかりそうになる。そこを咄嗟とっさにクッションタイプの結界を張ることで被害を防ぐ。当たった後に反発すると逆にね飛ばされて怪我をしかねないので、衝撃吸収仕様だ。


 突然、謎のふんわりとした感触に包まれるが怪我はしないので許してほしい。

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