第45話 薬屋へ
塩屋さんから馬車への道程はちょっと人目を集めてしまった。
それと言うのも、どうやら私は他の人達に比べて背が低い様で、ザルツさんや街中を歩いている女性と比べて、頭一つ分近く背が低いっぽい。
そんな小さな私が、一抱えはある木箱を一人で運んでいるのが好奇を引いた様だ。
だからと言って、これと言った干渉をしてくることは無かったので特に問題は無かった。
それより大事なことは、私が木箱を抱えているから、お手手を繋げなくなったエンケリンちゃんが、私のスカートをちょこんと摘まんで歩いて居た、と言うことだ! もう! 可愛過ぎて! 可愛過ぎて! やばかった!
しかも! 俯き加減にによによしているのだ! もう! ほんと! やばい!
そんな理性耐久イベントを
勿論、道中はエンケリンちゃんとお手手繋いで来ましたよ? エンケリンちゃんはにっこにこでした。何がそんなに嬉しいんだろうね? 私も嬉しいし、可愛いから良いんだけど。
外観は薬屋っぽい絵が描いてある看板が出ているのと、ガラス窓があって中が何となく見える感じだ。
何となくって言うのは、あっちの世界のガラス窓と違って、ガラスの透明度が低いくてガラス越しだとよく見えないから。
そんな薬屋の入口の扉をオーパ爺が開けると、カランカランとドアベル? が鳴った。なかなか洒落た物をつけてるじゃないか。
私もオーパ爺に続いてエンケリンちゃんと一緒に中に入る。
どうやら他のお客さんは居ないみたいだね。
店の中は扉を入った所に2メートル四方位の空間があり、入口の正面奥にカウンターがある感じ。
カウンターからこっち側の空間には商品は置いてない。注文式の様だね。
因みにカウンターの奥にも人は居ない。無人だ。
「おぉい、居らんのか?」
そこでオーパ爺がカウンターの奥に声をかける。
「…………」
返事がない只の――
「残念じゃが、居らんようじゃな。では帰るか、エンケリン」
そう言いつつも、帰る素振りもないオーパ爺とエンケリンちゃん。はて?
と、思うのも束の間、ガタン! バタ! バタ! ドタドタドタ! と奥で物音がする。
そして、
「お、お待たせしました! 何が御入り用でしょうか?」
慌てた様子で女性が現れた。
ちらちらとエンケリンちゃんを見る不審者。
ええと、まさかね?
「居るんじゃったら呼んだら出でこんかい。何回このやり取りをさせるんじゃ」
オーパ爺がそんな事を言う。
「あ、あはは……!?」
笑って誤魔化そうとする不審者。そこで何かに気付いたのか、ババッと二度見する。
どうやらエンケリンちゃんが私とお手手繋いでいるのを発見したようだ。
そして、私を睨み付けた途端、私がじっと自分の事を見ていたのに気付いたのか慌てて目を反らす不審者。
「オーパ爺、薬屋ってここしかないの?」
気付いた時には、私はそう口走っていた。
「んむ? 他にも在るが、何かあったかのう?」
そんな事を言うオーパ爺。これは……あまりにもこの状態が普通になってて感覚が麻痺してるのかな? 明らかに不審者ですよね?
「不審者が居る店はちょっと……」
私が語尾を濁しつつ言うと、
「な!? 居るのか!? 何処じゃ!」
オーパ爺のこの反応……
「ひぃっ! 何処ですか!?」
それと同時に不審者の影に怯える不審者。
「そこに」
私ははっきりと分かるように、カウンターの向こうに居る不審者を指差す。
「ひぃ!? 後ろ!? 居るんですか!? 居るんですか!?」
しゃがみこんでそう繰り返す不審者。
だから私はカウンター越しに覗きこんで改めて不審者を指差す。
「…………」
そこで理解するオーパ爺。そしてご本人は頭を抱えて
「アポティーカさん、ふしんしゃさん?」
エンケリンちゃんの可愛い声が響いた。
不審者の名前が判明しました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます