第42話 接近禁止宣告

「なっ!? 何故なぜですか! ちゃんと答えましたよ!」


 驚愕と憤慨をぜにした様な表情で私に訴えるザルツさん。


「いや、明らかに危険人物じゃないですか? そんな人をエンケリンちゃんに近付けたりはしませんよ?」


 私は淡々と至極当然の事をザルツさんに告げる。


「だいたい、幼女に対して何処までもって何するつもりですか?」


「そんなのやれることなら何でもに決まってます」


 ふふん。と言いそうな感じの表情で、さも当然の様に答えるザルツさん。


「もう、ここにエンケリンちゃんは連れてきません」


 だから私も当然の様にザルツさんに宣告します。


「何でそうなるのですか!?」


 意味が分からない! と言った風情ふぜいで叫ぶザルツさん。


「いや、そうなるでしょう。エンケリンちゃんに何されるか分かったもんじゃないじゃないですか」


 自ら危険人物宣言しといて、何を今更って感じですよね?


「な、何か勘違いしているようですが、私がエンケリンちゃんに無理強いしたことなんてありませんよ」


 このままでは不味い、と思ったのか言い訳を始めるザルツさん。


「…………」


 疑いの視線で返す私。


「ほ、本当ですよ! エンケリンちゃんに聞いて貰えれば分かります」


 かなり必死になって言い繕うザルツさん。


「もしそうだとしても、危険人物な事には変わらないですよね?」


 今まではそうでも、これからもそうとは限らないからね。


「な、何が望みですか?」


 かたくなな私に懐柔を持ち掛けるザルツさん。


「いやいや、エンケリンちゃんに近付かないでくれれば良いですよ」


 唯一にして完全解決の要求を伝える私。


「そんな話がありますか!?」


 まぁそうですよね。


「自主的に近付かないでくれれば良かったんですけどね。強制的に接近禁止には出来るんですよ? ……こんな風に」


 私はそう言ってザルツさんだけを侵入禁止にした結界を展開し、ザルツさんに向けてゆっくりと動かしていく。


「え? ちょっ!? な、なに? わ、わ、わっ!」


 驚き混乱しながら、結界に押されてずるずると後退するザルツさん。


「な、何ですかこれは!? 見えない何かがありますよ!?」


 見えない壁的な物を認識したようで、ペタペタと空中を触るザルツさん。


「これをエンケリンちゃんの回りに張ります。これでどうしようがザルツさんはエンケリンに近付けません」


「なっ!? でも、これだと誰もエンケリンちゃんに近付けないじゃないですか!」


 驚愕、後、問題点を突く。頭の回転速いな!


「いえ、通れないのはザルツさんだけです」


 私がそう言うと同時に結界に手を突っ込んで、ザルツさんの手をぺしぺしと叩いて引っ込める。


「なっ!?」


 驚き目を見張るザルツさん。


「まぁ、私がやっても信用出来ないかもですが、物も通ります」


 そう言って私は、近くにあった木製っぽい謎物体をザルツさんに向けてぽいっと放る。


「なっ!?」


 驚きつつもちゃんとキャッチするザルツさん。結構運動神経良い?


「後、ちょっと硬い壊しても良いものありますか?」


「え? ええと……。それなら良いですよ」


 戸惑いつつも、ザルツさんがまた別の木製っぽい謎物体を指す。って言うかなにこれ? 微妙に形が違うのが何体かあるんだけど……ま、いっか。


 私は謎物体を持って、掌と結界に挟まる様に叩きつける。


 ばがーん!


 無慚むざんにも粉々になる謎物体。


「強度もこんな感じで硬いので、壊そうとはしない方が良いですよ」


「な、何て馬鹿力!?」


 え? そっち? ま、まぁ確かにそれはそうなんだけど……えぇ、そっちなの?

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