第40話 初対面だよね?
「っ!? リーベスお姉ちゃん?」
私が固まっているものだから、腕を引っ張られる状態になったエンケリンちゃんが私を不思議そうな声音で呼ぶ。
「……あっ! わっ! ごめんね! エンケリンちゃん! 大丈夫!?」
そこで漸く解凍された私は、慌ててエンケリンちゃんに謝る。
「うん。どうしたの? リーベスお姉ちゃん?」
大丈夫、と言う風にこくりと頷き、逆に心配げに此方を伺うエンケリンちゃん。
「えっと――」
「エンケリンちゃん? それ――その人はどちら様ですか?」
私が返事をしようとしたところに、思いっきり被せて来るザルツさん?
この人私の事をそれは何? って聞こうとしてたよね? 穿ち過ぎ?
「リーベスお姉ちゃん!」
そう言って元気に答えるエンケリンちゃん。うんうん、とっても可愛いね。でもそれだけだと、その人も困るんじゃ無いかな?
「……成る程。オーパさんこれ――こちらの方とはどういったご関係でしょうか?」
ははは、私相当嫌われてますよね? 初対面だと思うんですけど?
「ふむ。それが今日の本題と言ってもいいんじゃが、その娘は新しく雇うことになったリーベスじゃ。今のところは護衛としてじゃが、色々教えて行こうと思っとる」
そう言ってオーパ爺が私をザルツさんに紹介してくれる。
「護衛ですか?」
それに対して、護衛にと云う所に引っ掛かったのか、訝しげな感じで返すザルツさん。
「ふむ、お前さんには話しててもいいかのう。リーベスは魔法使いじゃ」
さらっとネタバレするオーパ爺。え? 言っちゃうの? オーパ爺?
「なっ!? 魔法使い!? 魔術士では無くてですか?」
いきなりのぶっちゃけに驚くザルツさん。
「そうじゃ。こう見えても超一流じゃな」
いやはや、そうまで言われると照れますなあ。
「超……、ですが失礼ながら魔法使いを雇うほどの資金は無かった筈では?」
ここで偽物だと疑わないのはオーパ爺の信頼性なのかな?
「ほほっ、その通りじゃな。まぁリーベスは色々知識が偏っている様でな。それらを教える代わりに、格安で雇われて貰っている訳じゃよ」
「とても条件が釣り合って無いように思えるのですが……」
「そうかのう。世間知らずの魔法使いが信頼出来る相手を見付けて、一般常識を学べる機会はどれ程あるかのう」
オーパ爺? さっきはちゃんと濁してたのに、世間知らずって言っちゃってるよ?
「成る程、言われて見れば確かにそれは幸運と言って良いでしょうね」
言われてみれば納得と言ったように頷くザルツさん。
「お互いにとって良い出会いだった訳じゃよ。まぁ詳しくは奥でしようかのう」
そう言ってオーパ爺が奥に向かうと、それに続いて皆で奥の部屋に行った。
「それは本当に幸運でしたね」
あの後、私とエンケリンちゃんとの出逢いの話を聞いたザルツさんの感想がこれだ。
二人程は悲しいことになってしまったけど、私としては最高の出逢いだったと言っていいだろう。
ふむ、そう考えると私が到着するまでの貴重な時間をつくったあの二人は、結構重要だったのかも知れない。もしも家族が居るようだったら
「同棲っ!? ですか!?」
そんな事を考えていた私の耳にザルツさんの声が響く。
「ふむ、居候じゃな」
「一緒のお部屋なんだよ!」
「なっ!? …………」
とっても嬉しそうに元気に発言するエンケリンちゃん。うんうん、私もうれし――のわっ!?
ちょっ、ザルツさん!? な、何か、物凄いどす黒いオーラ的な物を発してるような気がするんですけど!? 二人は気付いて無いの!?
「お話ではまだ出会ったばかりなのですよね!?」
ザルツさんがヒートアップしながらそう言うと、
「まぁそうじゃが、儂もそこまで考えなしな程、
「あ、オーパさんを疑う訳では無いのですが…………これ――リーベスさんと二人だけでお話させて貰っても宜しいですか?」
「んむ? リーベスさえ良ければ構わんよ」
そう言ってこっちを見てくるオーパ爺とザルツさん。うん、ザルツさんから凄い圧を感じますよ? 断るんじゃねえぞ的な?
出来ればあんな表情で見てくる人と二人っきりなんてなりたくないんだけど?
「エンケ――」
「二人きりでお話しましょう?」
「…………分かりました」
エンケリンちゃんには優しい態度だから一緒なら安心だと思ったんだけどなぁ。はぁ。
「では、こちらに。オーパさんには取引のお話を……だれか!」
呼ばれて入って来た人とオーパ爺は取引の話をするみたいだね。
私はザルツさんとのお話か……何の話かな? って、まぁ十中八九はエンケリンちゃん絡みだよね?
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