第39話 塩屋さん?

 あの後、受付に木札を返して事務所的な所を出て、また馬車に乗り、現在塩問屋? 的な感じの所に来ました。まぁ問屋なんて行ったこと無いので適当です。


 道中は、エンケリンちゃんを堪能しつつも話をちゃんと聞いているか? という試練を受けさせられた。

 なんと言うことだ! エンケリンちゃんを堪能するのに集中させて欲しい!


 だが、私は何とかやりきった。そしてまた、エンケリンちゃんに頭なでなでして貰った! うへへ。


 しかし、エンケリンちゃんを堪能することがおろそかになっていたのは否めない。是非とも堪能する事に集中させて欲しい所だ。

 とは言っても、護衛の私が道中に何か有った場合に無反応って言うのは流石によろしくないだろう。

 とは言え結界があるんで、それで何も問題は起きなさそうだけど、流石にね?


 でも、なんか会話の相槌のように自動で戦闘しそうな気もするだよね……我ながら怖っ!

 

 しかしながら、これはエンケリンちゃんを確りと堪能しつつも、周りを警戒出来る様に鍛練をしないといけないかな?




「邪魔するぞい」


 そんな声とともにオーパ爺がお店の中へ入って行く。


 あ、因みに馬車は区画前に預かり所があるのでその場所に置いてきました。馬車で乗り付ける事は出来るけど、流石に路駐は良くないみたい。


 お貴族様も大抵は守っているようだ、まぁ呼んでくる人が居るだろうしね。そもそもお店に来る貴族は少ないそう。大抵は屋敷に呼び付けるものだそうだからだ。

 それでも大抵なのは一部の馬鹿貴族はなにおかいわんや、と云う事だ。


「あ、オーパさん、おはようございます。今日は早いですね。いつもはお昼過ぎなのに……あれ? 今日はエンケリンちゃんはお留守番ですか?」


 お店の外観を眺めながらそんな事を考えて居たら、お店の中からオーパ爺と話しているらしき女性の声が聞こえた。


「あぁ、おはよう。その事にも関係が……ん? エンケリンは一緒に……おらん」


 そんな声と共にオーパ爺の私達を探す視線と目が合った。


「んお、まだそんなとこに居ったのか、紹介するから早く入ってこんかい」


 おっと、オーパ爺がお呼びだ、ちょっと眺め過ぎたかな? お手手を繋いだエンケリンちゃんと一緒にお店に入って行く。


「っ!?」


 お店に入った途端に強烈な悪寒の様なものに襲われる!?


 え!? なに!?


 更にこのままではいけない! という焦燥感も感じる!?


 ここに至って漸く、平和ぼけしていた私はエンケリンちゃんと自分を覆うように最高硬度の結界を張った。あ、オーパ爺にもね。


 そして握っていたエンケリンちゃんの手を離してエンケリンちゃんを自分の背に隠して周囲を警戒。


 すると、さっきまで感じていた悪寒と焦燥感が消えていることに気付く。


「え? どゆこと?」


 更に探知魔法を発動……周囲に敵性体の反応は無い。


「……消えた?」


 私が謎の異常事態に動揺していると、


「リーベスお姉ちゃん?」


 そんな声と共に私の服がくいくい、と引っ張られる感触が……。


「あ、あはは。何でもなかったみたい」


 エンケリンちゃんの方に振り返ってそう答える私。


「?」


 小首を傾げて不思議そうな顔をするエンケリンちゃん。可愛すぎ!

 数瞬そうするも、何でもないって言葉が染み込んだのか、再びお手手を繋いでにっこり――!?


 また!? どこから!? 正面!? オーパ爺の隣!?


 又もや悪寒と焦燥感に襲われると共に、警戒の為に発動したままだった探知魔法に敵性体の反応が出る。よりによってオーパ爺の隣に! 一体何者!?


「う゛ょっ!?」


 ばっと、その方向を見てそれを認識した途端変な声が出た。


 いや、仕方無いと思うんだよね。そっちを見た途端物凄い形相でこっちを睨み付けてる顔があったらそうなるってね?


 私が固まって居ると、突然満面の笑顔になって視線が斜め下にずれる。と、


「おはようございます。エンケリンちゃん、今日は早いんですね」


 とっても優しい声音でエンケリンちゃんにそう話し掛けていた。


「うん! ザルツさんおはようございます!」


 エンケリンちゃんも元気に挨拶を返す。


「オーパさん、ここでは何ですし奥にどうぞ。エンケリンちゃんもね」


 そう言って二人を奥に促す女性。うん。私の事はガン無視だ。


「うむ」

「はーい!」


 勝手知ったるなんたらかなのか、オーパ爺とエンケリンちゃんが奥に進んで行く。と、当然エンケリンちゃんとお手手を繋いでいる私も一緒に行――こうとしたんだけど……。


 ギンッ、っと音がしそうな程に先程の女性にめ付けられ、


「っひょっ!」


 って、思わず変な声を出して、またもや固まってしまった。

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