第37話 支払

 それから、それぞれの品物の適正価格をオーパ爺に教えて貰った。


 やっぱりと言うか、魔物素材は高いみたい。村人でも狩れるような、弱い個体の魔物素材でもそれなりの値段になってる。


 動物素材も思ったより高い。有り触れてはいるけど、それほど供給量が無いのかもしれない。


 そして哀しくなるほど安いのが村人が作った民芸品だ。そこそこ時間も掛かって、手間も掛かってるだろうに、あっちの世界の内職並みに二束三文だ。あ、内職なのか。


 そんな中で異彩を放っていたのが、木像と言う項目だ。あの哀しいほど安い民芸品の中で、魔物素材並の値段になっている。


「これだけ何か高くない? 大きいのかな? いや、そんなの運んで無いよね?」


 私がそのまま疑問を口にしたら……


「うん? ああ……ファームの木像か……、大きさはこれくらいだな」


 そう言っておっちゃんが手乗りサイズだと、身振り手振りで示す。


「その大きさでこの値段? 相当出来が良いんだね」


「ああ……確かに出来は良い」


 何か含みが有る言い方だね。


「とってもかわいいの!」


 そこで元気にエンケリンちゃんが新たな情報をくれる。


「可愛いの?」


「うん!」


 元気ににっこり笑顔で答えてくれるエンケリンちゃん。うん、貴女が可愛い。


「そうなんだ。何だろう動物とか?」


「女神さま!」


「え?」


「とってもかわいい女神さま!」


「へえ~女神様なんだ」


 デア……ではないか。確か世界とは直接関わらない様にしてたんだったよね。と言うことは他の女神かな、下請けの。


 可愛いって事はロリ神なのかな? いや、私もエンケリンちゃんに可愛いって言われたんだっけ……うへへ。


 そんな事を考えながら男性陣の二人を見ると、……渋い顔をしてる、何事?


「その、女神様が何かあるの?」


 何か良くない事があるの? 的な雰囲気で私がくと。


「女神様にはなんの問題もない」


 と、即座におっちゃんが答えてくれた。


「容姿が特徴的とか?」


「とても美しくはあるな」


 これまた即座におっちゃんが答える。


「可愛いではなく?」


「俺は美しいと言う表現の方が合ってると思うがな」


「へえ、エンケリンちゃんは?」


「かわいい!」


 びしっ! と手を上げて答えるエンケリンちゃん。はい、可愛い。


「こう仰ってますけど?」


 おっちゃんに、どう言う事じゃい、って視線を向ける。


「いやいや! 木像の方はそうかもしれんが、本物はそうじゃないんだ! な? オーパさん」


 旗色が悪く感じたのか、オーパ爺に同意を求めるおっちゃん。


「む? まぁそうじゃのう」


 ふむ、オーパ爺までそう言うって事はそうなのかな? まぁ幼女と男性では見方も違うか。


「そこまで言われると気になるね」


 一体どんな女神様で、どんな木像になってるんだろう。


「流石に今から持って来るのは時間が掛かるぞ」


 む……。


「そうじゃな。まだまだやる事もあるしのう」


 ありゃ、オーパ爺までか。


「むう、仕方ないか。それじゃあ、また今度だね」


 気になるけど……やる事があると言われたら、時間を使う訳にはいかないか。


「おし! それじゃあ、これが今回の支払いだ」


 おっちゃんがそう言いながら机に御金を置いていく。金貨2枚に銀貨が……5枚に銅貨が3枚だ。


 うん、これが多いのか少ないのか分かないね。さっきの紙通りの金額ではあるんだけど、私の給金の半分か……、確か村が五つ在るんだっけ? 全部で同じくらいの売上だったとして、売上の……5分の2……4割が護衛費用って普通なのかな? やってけるの? あぁ、でもやって来たんだっけ?


「どうかしたのかのう」


 ちょっと考えてたら、オーパ爺に声を掛けられた。


「いや、護衛費用って結構な金額になるなって思って、それって普通なの?」


「ふむ、そうさのう。儂等の場合は高い方かも知れんのう。護衛をけちってもしもの事があったらいかんからのう」


「あぁ、それもそうか……」


 ここはあっちの世界の日本の様に治安が良いわけでも無いか、あっちの外国でも危険は多かったみたいだし、こっちはさもありなんってか。


 身ぐるみ剥がされるのでも悲惨なのに、悪ければ殺されるか野垂れ死に、女子供は慰みものか奴隷まっしぐらだろうしね。


 もし、エンケリンちゃんがそんな事になったら世界を滅ぼしちゃうよ。


 やはり、どこかのドラまたさんが言ってるように、悪人に人権は無い方向で行こう。

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