第36話 お叱り
「もう! ちゃんと聞かなきゃだめでしょ!」
はい、只今幼女に叱られています。……ちょっと怒ったエンケリンちゃんもまた可愛――
「リーベスお姉ちゃん!」
「はい! すみませんでした!」
平身低頭である。
まぁ何があったかと言うと簡単な話で、私が仕事の話をエンケリンちゃんを堪能していて全く聞いていなかったと言うことだ。うん、仕方ないよね?
今回だけじゃ無く、度々話を聞いてない事にエンケリンちゃんも思うところがあったらしく、
「うん、うん。ってして聞いてると思ってたら、ぜんぜん聞いてないんだもん!」
と云う事らしい。
私としては全くの無意識だったんだけど、実にタイミング良く相槌を打っていたらしい。そんなだったから、ちゃんと話を聞いていると思っていた訳だ。
ところがどっこい、全く聞いていないとなって今に至ると。
「ごめんね、エンケリンちゃん。今度からは気を付けるから……」
今回はこの辺りで――
「もう! 自分のお仕事なんだからちゃんと聞かなきゃだめでしょ!」
全く反省していないのを見透かすかの様なエンケリンちゃんの一撃。
「はい! その通りです! ごめんなさい!」
こりゃ不味いと全面謝罪の私。
「もうぼうっとしちゃだめだよ?」
一転、優しく指導をするエンケリンちゃん。
「はい! 気を付けます!」
それに、あくまでもやらないと言う単語は使わずに改善の意欲を見せる私。
「うん。ん」
満足そうにそう言うと、エンケリンちゃんは両手を広げて待機中。
……はっ! 気付いた私はエンケリンちゃんをくるりと回転させて背を向けさせると、腋の下に素早く両手を突っ込んでひょいっと持ち上げ、自分も椅子に座りながらエンケリンちゃんを膝の上に座らせる。
ふぁぁ、相変わらず素晴らしい。しかし、これを全力で堪能せずに他の事に集中しろとは、全く酷なことを
……はっ! いかんいかん、早速没入してしまう所だったよ。
ん?
そこで視線を感じてそちらを見ると、組合のおっちゃんとオーパ爺に生暖かい目で見られてた。
恥ずい!
「えっと、大変お見苦しい所をお見せしました?」
照れ隠しにそんな事を言う私。
「ははは、ずいぶん仲が良いようで安心したよ。どんな嬢ちゃんかと思ったからな」
そんなおっちゃんの言葉に喰らい付く私。
「見えます!? 私達、仲が良いように見えます!?」
「お、おう。それで仲が悪いって言われたら俺は人を見る目が壊滅的だな」
そんな私に戸惑いながらも答えるおっちゃん。
「えへへ、私達仲良しだもんね~」
そう言ってエンケリンちゃんに語りかける私。
「うん!」
それに対して
「こりゃまた……。本当に良くなついているなぁ。……あのエンケリンがねぇ」
うかれぽんちになってる私だが、それが例え小さな呟きだったとしても、エンケリンちゃんの名前が出たら聞き逃す事はない!
「あのって?」
「あ? あぁ、聞こえちまったか……。いや、なんと言ったものかな……」
じっと、頑張って威圧が入らないように見つめる私。
「あぁ、その、なんだ、……そこまで甘えてるエンケリンを見た事が久しく無かったからな」
「…………」
誤魔化されたかな? でも、これ以上は言わなそうだね。エンケリンちゃんの前だから?
「そろそろ話を戻しても良いかのう?」
オーパ爺? ……仕方ないか。これは後でオーパ爺を問い質さないと、かな?
そんな事を考えてた私に、オーパ爺が話し掛けてくる。
「先ずはこれを見て貰おうかのう」
そう言うとオーパ爺は私に一枚の紙を渡す。
なになに、えっと……
「買取り品の品名と数量と単価に合計額かな?」
私がそう言うと、
「そうじゃ、文字が読めて計算も出来るようじゃな」
読み書き
「なんて書いてあるかが分かるだけで、それがどんな物か、適正価格なのかはわからないけどね?」
「そうなんじゃろうな。じゃからそれを教えようと思ったんじゃが――」
「聞いてないんだもん!」
「ごめんなさい」
オーパ爺の話の途中で思わず、といった感じで声を上げるエンケリンちゃん。その声にすかさず謝る私。
お仕事の話の時はいつも良い子にしてるエンケリンちゃんに思わず声を上げさせたのは私です。
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